NoName

Open App
1/23/2024, 4:10:40 PM

こんな夢を見た


大きな鳥居がある。50メートルはゆうに越すほどの大鳥居だ。その鳥居はテーマパークのなかにあった。
どうやらテーマパークのエリアのひとつのようだ。
鳥居は登ることができて、鳥居の足元からよじ登れば、他のエリアを見通すことができた。

向こうに見えるエリアは、大きな要塞のような石造りの砦。砦は海の一部を囲うように作られていて、囲んだ海の上で水上ショーを行うようになっていた。
砦内部にはお土産物屋さんがあり、テーマパーク全体のお土産が集約されて売られている。

海の上は大きな水車がついた船が走っている。テーマパークの移動手段のようだ。その船や古びた高架電車などによってテーマパークのエリア間の移動ができるようになっている。もちろん、自力で泳いで渡ってもいい。

泳いで行った先には、ジャングルや湿地帯をイメージしたエリアがあった。名物は水上コースターのようで並ぶのに時間がとてもかかった。水飛沫が常に自分の顔を濡らし、コースターを楽しむ悲鳴がよく聞こえる。もうそろそろ、自分の番。乗り物である丸太に乗り込んで、出発──


意識が持ち上がり浮上する。
瞼を持ち上げ、光を確認する。窓からは朝日が小鳥の声と共に飛び込んでくる。
…いつもの遊園地の夢か。と、重い頭を起こす。
夢の中の遊園地、見るたびに広がっていくんだよな。
どこまで広がっていくんだろう、楽しみで仕方ない。

1/22/2024, 11:40:06 AM

タイムマシーン

未来と過去にいけるなら、
あんたはどちらにいきたいんだ。


女は過去に行きたい、と高らかに答えた。
なんでも、恐竜をこの目で見たいのだそうだ。
なす術もなく死んでしまうだろうけど、生きている恐竜を見た初めての人類になれるから。と。

子供っぽい夢だな、と私は答えた。
なら、どうやって初めて恐竜を見た人類になった、というんだ。生きてもいない奴が論文や写真を発表するわけじゃないだろうに。

私の問いに女は、さも当然といわんばかりに自信満々で答える。
それはもちろん、私の骨だよ。
もし私がきちんと白亜紀に向かえてそこで死んだのであれば、その骨が化石となり未来に残るだろう。あぁ必ず残るとも。

化石が出来上がるためには、運や他のさまざまな要素が必要だ。死体を喰われ形が残るのかもわからないのに。それをこの女は当たり前だという態度で答える。
そんなの残るわけないだろ、
と思わず呆れた顔をして、女を見送った。


次の日から、彼女の姿を見かけることはなくなった。
当然だ、女は言った通り過去に向かったのだ。

私も、私の仕事をしなくては。
今日はあの辺りの発掘調査をしようか。
まだ目当ての骨は見つかっていないのだから。

1/22/2024, 5:49:12 AM

特別な夜


1人の時間が好きだ。

誰とも関わらず、ただ己の心が好きなように過ごす時間が好きだ。

1人の時間にちょうどいいと私が思うものは、暗い夜の帰り道。
街灯もまばらで通行人の顔もわからないほどの暗い道。
自分のことも黒に染まって、夜と一体になった感覚がする、あの1人の特別な時間が好きだ。

漂う夕飯の香り、沈んでいく太陽と、橙と紫が混ざり合った空、ひとつひとつと灯ってく星々。今の時間だけは特別、私がこの場所を支配したように思える。
そんな夜。