「お前にっ…何も失わずして歩いているお前らなんかに!!希望を失った私の気持ちがわかるわけないだろう!!!」
「巫山戯るなっ……あなたの見ていないところで、どれだけの希望が失われているのか、あなたは知らないでしょう!!!」
「これまでずっと、そうやって世界は回ってきたんです、そうやってずっと、あなたも私も生きてきているんです。」
何かを失って、何かを手に入れて。
そうして不幸ばかりがより深く自信を取り巻いていくのです。
【これまでずっと】
織姫と彦星の出会う日に降る雨のことを、催涙雨と呼ぶらしい。涙の雨なんて素敵な言葉だ。
私は出会うことを拒むようになったと言うのに彼らは出会おうとし、出会えぬことに泣くのか。なんて美しい恋なのだろう。
夏休みに出かけないかと別の人からの連絡に返事を迷いながら彼を思い浮かべる。もうすっかり、彼のことがわからなくなってしまった。どう会話すればいいのかも、何を望んでいるのかも、何をするべきなのかも。
織姫と彦星のように1年に一度しか会えないわけではないし、むしろほぼ毎日のように出会うのに、会話の仕方すらわからない。
今日は七夕だ。
雨を望む私と、雨を望まぬ2人の星願いが交差する日。
【七夕】
一緒に頑張ってきたと思ってた。けど、思い過ごしだったみたい。ただ、私が一緒に頑張ってたつもりになっていただけだった。
自分の手元に何も残らずまるで溶けていくように消えていく。込み上げてきた何かに上を見上げる。
嗚咽が止まらない。最初から、期待なんてせず、適度な距離で居続けるべきだったんだ。
「友達」だと思っていた今までも思い出もぜんぶ、ただのまやかしだった。
私が見てきた友達の記憶はすべて、嘘と虚像で作られていたんだ…。
【友達の思い出】
死んだら星になるんだって。もうすぐ7月7日。短冊に細くか弱い文字を書き連ねる。
「今日もみんなが、笑顔でありますように。」
しかし自分のようで自分ではない誰かがざわつく。
「結局そんなの書いとけばいい子に見えるからとか。そのつもりでしょ。」
あの人はきっと今日も無理をする。私がどれだけ言ったって自分でなんとかしなきゃとか。
みんながなんて書きながら、結局はあの人がそうであることが第一の願いだった。
けれどどれだけ無理をしないで、自分を大事にして、って言ったってそれが叶うことはない。私ばかりが何もできないみたいで惨めになっていく。
あの人ばかりが頑張って、私が無能に見えていく。
あの人が頑張ってる理由を軽率に悪く考えてしまう。
私ばかりが醜く変わっていく。
星への願いが、黒く染まっていく。
今日も星空は綺麗だ。なのに、そのはずなのに。星空の裏で黒く染まった世界がどうしようもなく恐ろしい自分の何かと重なって息が苦しくなる。
あぁ、ちゃんと、いつもどおりを生きてるはずなのに辛い、なぁ…。当たり前に出来てるはずなのに、もっと辛い人がいるはずなのに、それでも死にたいと思ってしまう私が、どうしようもなく悪い人に見えて嫌いになっていく。
あぁ…もっとちゃんと、上手く生きたかった。
【星空】
私はどんな時でも、時間が許す限りあなたを見つめています。あなたはどんな時でも眩しい光で私を導いてくれる。その光で今日も上を向いて堂々と立っていられるのです。
凛々しく、咲き誇っていられるのです。
【日差し】