くちぱっちょ

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11/22/2024, 2:26:04 PM

「ねぇ見てくださいよ、とても綺麗な彼岸花が咲いてますよ。」
「ああ、もうそんな時期か。」
一つ一つ。
 添えるための花の数が増えてく度に、哀惜は薄れて安らかな気持ちになるのはなぜでしょう。

──パン パン

「さて、さっさと帰ろう。」
最後の一輪を添え終えたあなたは、ぶっきらぼうに立ち上がって、手を差し伸べてきます。
「ええ、そうしましょう」
その手を握り返して、私も立ち上がりました。


「またいつか、会えますかね。」
帰り道、ふと溢れる独り言。
「どうだかな」
 そしていつもの無愛想な言葉と、強くなるあなたの手の感触。

 あなたと出会って53年。
この手のひらの温かさは、昔と全く変わりませんね。

11/21/2024, 1:12:01 PM


 カラカラ、カラカラ。
キーホルダー揺らして歩いた、いつかの帰り道。
 久しぶりに歩く、かつての我が家への帰り道。

 あの立て看板が。
 あの駄菓子屋が。
 あの坂が。
 感じる夕方の匂いが。
雄弁に語るのは、あの頃の記憶。

 さて歩道橋を登って、斜陽差す町並みを一望して。

「これから、どうしようかな」
ポツリこぼれるのは独り言。

11/20/2024, 2:45:28 PM

くたびれた朝の空気が気持ち悪く感じられる。
 覚めた瞼はどこか朦朧としたまま、体を前日の余韻が纏わりつくようだった。
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≪ ryuto     

『ごめん…』0時13分
              
        既読『謝らないでよ』
       0時14分  
          
       1時43分『もっと違う未来もあったのかな』──────────────────────────
枕の傍ら、無造作に置かれたスマホに手が伸びて、無意識にいつもの画面を開いてしまう。

 「あっ、本当に終わっちゃったんだな」

 いつも早起きな彼が、10時を回っても既読すら付けないこと。
 いつも惰性で開いていた画面を、明日からは開かなくてよくなること。
 そんな些細な事実が、どうしようもなく私とあなたの終わりを告げていた。

 「ふっ、ふふ」

しかし、こみ上げてくるのは笑いだった。
今もすごく辛いし、恋なんてしなきゃよかったと思う。
 
でもこの半年間を捨ててやらない。忘れてやらない。
 いつか私の宝物にしてやる。
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≪ ryuto     

『ごめん…』0時13分
              
        既読『謝らないでよ』
       0時14分  
          
       1時43分『もっと違う未来もあったのかな』
 
       10時36分『ありがと』
──────────────────
 そう思うことがあなたへの最大限の感謝だと気付いたらから、今は笑いたいと思う。

11/19/2024, 2:50:36 PM

ウクレレと、腰掛けられる椅子と、夜を照らす少しの灯りがあれば、きっとこれ以上何もいらないのでしょう。