それは夜遅い時。
「今日も星が綺麗ですよ。主様。」
「そうだね、ラムリ。」
ラムリと一緒に星空を見ているときだった。
いつもより少しトーンの低いラムリの声に少しドキドキしながら、2人で星を見ていた。
「ねぇ、主様。」
「ん?どしたの?」
「これからも、ずっと…ボクを担当執事にしてくれますか…?」
声も手も震えている。
ラムリは、夜色々なことを考えてしまって、不安になってしまうらしい。
そんな震えている彼の手を優しく握り、
「もちろん。これからも、ずっと。私の担当執事は貴方しかいないよ。」
少しトーンを下げて言った。
ラムリの少しびっくりしたような、でも安心した瞳を見て、私は言ってよかったと思った。
「これからもずっと、よろしくね。ラムリ。」
と言ったら彼は泣いてしまった。
「ふふ、可愛いね。ラムリ。」
ハンカチを取りだして彼の涙を拭き取る。
「ほら、笑って?私のラムリ。」
そう言って、私はニコッと笑って見せた。
「!…はいっ!」
そう言うと、彼は元気いっぱいの笑顔を見せた。
やっぱり彼は元気な笑顔が1番似合う。
これからも、ずっと…その笑顔が見れたらいいな。
今日は珍しく定時で帰れた。
ちょうど夕日が沈んでいく時間。
電車に揺られながら窓から外を見る。
オレンジ色の太陽が沈んでいってる。
「綺麗な夕日…」
小声で呟いた。
きっと館の庭でラムリと見る夕日は何倍も綺麗なんだろうな…なんて考えながら。
電車の揺れに身を任せ、少し目を閉じる。
「綺麗な夕日だなぁ。」
沈んでいく夕日に照らされる赤い薔薇。
少しオレンジ色になってて綺麗。
「主様にも見てもらいたいな。」
今度オレンジ色の薔薇を主様に贈ってみようかな、
なんてことを考えながら沈んでいく夕日を眺める。
もうそろそろ、主様の仕事が終わる時間。
「主様…まだかな…。」
そうポツリと呟いた。
その時、ボクを呼ぶ声が聞こえてきた。
「ただいま、ラムリ。」
主様だ。
「おかえりなさい!主様!」
声を聞いた瞬間、パッと笑顔になる。
「今日もお仕事お疲れ様です!」
「ふふ、ありがとう。」
そう笑う主様。
笑っている主様を見ているとパチッと目が合った。
数秒間、主様と見つめ合う。
あぁ…、ボクの主様。
ボクはあなたの目を見つめていると、
少しおかしくなってしまうらしいです。
ボクだけの主様にしたい。
そういった想いを心の奥にしまって、
ニコッと笑う。
「今日も星が綺麗ですね。主様。」
星を映した綺麗な目をボクはずっと見ていたいです。
夢の中で私は館に帰る。
「ただいま。ラムリ。」
「おかえりなさい!主様!今日は早いね!
もしかしてボクに会いに来てくれたの?」
いつも通り私の執事が出迎えてくれる。
「うん。今日は仕事早く終わったから。」
そう言って軽く私は笑う。
「あ、そうそう!主様!今日は星がめっちゃ綺麗に見える日なんですよ!」
そう言って元気に笑う彼。
「そうなんだ。」
「一緒に見ませんか?主様!」
その問いかけに私は頷く。
「やった!じゃあ行きましょ!」
彼に引っ張られながら見張り台に行き、彼と一緒に星を眺める。
「綺麗…」
そうポツリと呟いた。
「綺麗ですね。でも…主様の方が…何倍も綺麗ですよ。…なーんて…」
彼の言葉に少し戸惑いながら、ふふっと笑った。
「ありがとう。ラムリ。」
そういってまた、星を眺める。
星空の下で君とずっとこの時間を。
今日も仕事で失敗した。
でも違う、前までの生活とは違う。
私には帰るところがある。
「あ、主様!!おかえりなさい!」
今日も私の執事が出迎えてくれる。
「ただいま。ラムリ。」
「今日も仕事お疲れ様です!
よく頑張りましたね。」
そう言ってニコニコ笑う彼を見て、
私は、はぁ…とため息をつく
こんな幸せでいいのだろうか、いや、今までが幸せじゃなかった。
いいんだ。幸せになって、これでいいんだ。
………なんて、夢をみて、今日もまた、仕事に向かう。それでいいんだ。