「大丈夫 ずっと傍に居るさ」
そう言っていた彼は何処に隠れているのだろうか
朝起きると貴方が居ない
一緒に逃げようなんて言ってくれたのは
結局皆と同じ嘘だったのだろうか
汚い身体で 貴方を探してまだ動く
折角逃げてきたのに これじゃあ生きてけない
突然 背中が熱い
熱い 熱い あつい あつぃ ����
「何処に行っていたの 僕から逃げるの 」
「 」
絞り出しても声が出ない
でも確かな安心がそこにはあった
「 一緒に死のう
綺麗な楽園に行こう」
貴方だけが私を救ってくれる
フィクション
快晴の空
積もった雪が溶けかけて少し寂しさを感じる
「手冷たい 、 」
「 ね笑 」
赤くなった耳と指先
耳たぶまで巻かれたマフラーに埋まる貴女の頬
全てが愛おしい
「冬と夏どっちが好き?」
「 冬!」
「え夏かと思った 」
「夏も好きだけど〜 」
冬のご飯が好きとかかな こたつも好きそうだなあ
「 ○○にね いっぱいくっつけるから!笑」
「○○はどっち?」
春夏秋冬に好き嫌いなんてなかったのに
貴女は本当に暖かい
「 私も今ね 冬が好きになった笑 」
フィクション
ああ 外に出てみたい
昔から身体が弱かった
外で遊ぶ子供を横目で見てはまた眠りにつく そんな生活
お正月で気持ちが浮ついているのか
寂しいなんて感じることは無かったのに
真夜中 裸足で庭に出た
久しぶりの感覚 足裏が土に汚れる
神社から鐘の音がする
「 日の出 ? 」
好奇心は危ないもの 昔から分かっていたはず
なのに
なのになあ
息を飲むほど綺麗で ずっとここにいたくて
久しぶりに歩いたからか 少し息が上がって
いや 綺麗で綺麗で 身体が驚いてしまったのかな
水平線が歪む
この身体を恨むことしかできない
そんな私が嫌いだ
フィクション
頑張って途中まで進めたゲームの電源を切られて
また一からやり直す
そんな感覚がして
新年とか新学期とか あまり好きになれない
「来年も私達一緒にいられる?」
「ええ もちろん」
「いきなり居なくなったりしないでね」
年越しそばを食べて テレビを見て一緒に過ごす
幸せの後に来る喪失感は
いつも貴女を不安にさせる
大丈夫 きっと
来年も再来年もその先も
「 明日神社にお祈りに行こう」
「え いつも行かないって」
「神様にお願いしたいことがあるの」
「何をお願いするの?」
「 秘密 」
『良いお年を』
貴女の隣で目を閉じる
ありきたりな幸せが この先も続きますように
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