白くてもう脈を持たない貴女の横に甘いみかんを添えた
「お母さんがね 私の採ってくるみかんは酸っぱいって 」
「ねえ 甘いのってどうやって見つけるの?」
「実が硬いのはまだ成長してないから酸っぱいの」
教えたあともくるのは変わらず酸味の強いみかんだった
私は彼女の 何を見ていたの
「神経疾患」 貴女が居なくなる前に医者が言ってたの
硬さが分からなかったのは 感覚が鈍かったから
匂いも味も まともに感じられなかったんだ
最期まで 私に嘘をついていたの
喜楽を忘れていく貴女の顔 焦点の合わない貴女の瞳
結び付いたようで 苦しくて 箱を閉じることが出来ない
ああ ごめんなさい 。気付いてあげられなかった
酷い焦げ臭さ 微かな柑橘の匂い
幾ら涙を流せばこの火が消えてくれるのか
フィクション
想っている人がいる時 長期休暇って酷く苦痛に感じる
もうすぐ卒業で あと何回話せるのかも分からないのに
貴方を見ることすら出来ないなんて
連絡先だけでも知ってたら今頃変わってたかな
外は寒いけど
買い物に行ったらばったり会えたり しないかな、
いつか貴方と
休みも一緒に居れる関係になりたいなあ
なんて
1月のカレンダーを眺めて また会えるのを待ち侘びている
ノンフィクション
「眠い眠い眠い」
去年までの私はならきっと今頃
家族や友達とパーティーでもしてるはずだけど
受験生の恋人は勉強 らしい
好きになれるわけないだろう
「点Pお願いだから動かないでほしいな 」
点Pが動かなかったところで求め方は知らないんだけど
家族は私以外全員 インフルエンザ
何故か元気な私が自室に隔離されている 何故だ
冬休み後には私立入試
過去一楽しみではない冬休みが始まってしまった
今年は理系頭脳が欲しいな サンタさん
ノンフィクション
「 ああ 彼氏欲しい 」
「ほんとに毎年言ってるじゃん」
「え なんか毎年イルミネーション○○と来てる気がする」
「え それな しかも毎年イブね」
「そう笑 」
「本当は彼氏作って行きたいのに
なんで毎回隣にいるのは○○なんだ 」
「こっちが聞きたい」
カップルだらけのイルミネーションパーク
何故か いつもの流れで手を繋ぐ
「はい口開けろ」 「ん笑 え美味」 「それな天才」
「なんかこんなことしてると同性好きな人みたいじゃん」「しぬ笑」
どこかで聞いた
女の子の友情は 性欲のない恋愛だと
「てかあんた今日の服かっこいいやん」
「 照れちゃうわー」 「うんまじ似合ってる 笑」
ねえ
私は意識しちゃってるよ
「あ、ねえ 聞いて」 「 ん?」 「好きぴがさ 」
ああ
「またその話?」 「聞いてくれよー 」
かなわない
フィクション
会話は実際のものがほとんどです
10月31日 私の兄の誕生日だ
毎年プレゼントは何がいいかってソワソワしてた
質より量を好む人だったから
よくお菓子を箱いっぱいに詰めて渡してたっけ
お返しは毎年帰ってこないけど 毎年渡してた
家族に 兄にプレゼントを渡すのが好きだった。
けど いつの日か 兄は変わってしまった
もうあげる物もない 話すことなんて何も無い
2年の辛抱 やっと 兄は高校を卒業し実家を出た
私が結婚したら式には来るのかな ああ嫌だ
どうしたって血が繋がっている
似ていく顔を見るのが たまらなく苦しい
なのに
私の口からは度々兄の話が出てくる
幼少期 私の大切な1人の兄であった記憶は
どう頑張ったって変えられない
今もまた こう思い出しては辛くなる
どうして私よりも幸せそうな顔で生きてるの
ノンフィクション