♰ (X:@xsxrxdxcxex)

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6/11/2022, 2:36:31 PM

‐街‐


此の足が
進まなくとも

此の心が
留まろうとも

波の音と
汐風と共に

刻が全てを
流してしまふ

ああ想ひ出の君よ
幸せであれ

6/9/2022, 10:08:37 AM

‐正しいことなど知りたくない‐
やら云々がどうのこうの




恥の多き世なりき

太宰嗤ふ
此の世の愚鈍さ

唯心もとなかりし不安

芥川が歎く
人の憂さ


ああさうぞ

恥も多いし
ぼんやり心もとなし

君らみ度いに
文才ないし

いかがすべきやすずろに
誰も答へやしなひこと


とり敢へず考ふるやめむ
煙草が消えば飯を食ふ

其れにてありぬべきぢなる
其れにてありぬべきぞ

6/8/2022, 11:46:02 AM

‐ 幽閉ざされた教会‐


葡萄酒ぶちまけ
滲んだ夜に

ぼくは獨り彷徨ひ出る

引きずる足枷
傴僂の背中

肩で呼吸し
瞳を光らせ

闇夜に鼻面搖らし乍ら


獲物の足跡
嗅ぎ分け探す

雲間に見える
月の恥ぢらい

獲物は何處だ何處にゐる
黒い外套のあの姿


兩手を見つめ
咆吼をあげて

牙を剥き出し
足鳴らしす

乾いた嗤いが歎きが
胸に噴き出て止まらない


老若男女
誰彼構はず手にかけて

聖なる夜を血に穢す

食ひ散らかしては
次を探して夜を彷徨ふ



ぼくの獲物は
もういない

ああぼくに銀彈を
此の心の臟に銀彈を

安らぎと云ふ
銀彈の祈りを


割れた鏡に映つた
嘘、月

獲物を探して彷徨ひ歩き
大聖堂で夜を謳ふ

6/7/2022, 1:57:28 PM

‐世界の終わりにキミと‐


ツンドラ
凍てつく凍原
作法厳しき氷の女王

恐れを知らず
無謀に胸元踏みいる旅人

人はそれを勇気と言わぬよ

此方へおいで寂しかろう
此処へおいで不安だろう

彼女が囁く風が吹く
彼女が手招く雪が降る

ポラリス
見上げた北極星
煌めきたるは彼女の瞳

おいでやおいで
抱いてやろうて

おいでやおいで
永遠をやろうて

永遠の約束冷たき唇

美しきまま此処に棲まえや
わたしと共に

氷の微笑み
溺れてしまえよ此の夜に


謳い揺れているよ
大いなる世界樹ユグドラシル

世界を支える樹の下で

もう離さない

お休みなさいな
永遠の誘い

6/6/2022, 11:03:43 AM

‐最惡‐



部屋のソファで足投げ出して

頬杖ついて退屈してる
“ご主人樣”と

飼ひ慣らされる
數字の異形ら

全てが毒し冒されて
何も麻痺して感じない


儀式のやうに仰々しく
豪奢なグラスに

アブサン注いで

角砂糖のせ火を附けよ
指さし目配せ指圖する


ゆらゆら搖れる青い炎

牀から這ひ上がり
纏はり附く蛇

抽出される
呪ひの植物苦ヨモギ

啼き交はしてゐる
つがひの鸚鵡

纏わせられた花言葉
“此の世に存在しない”



眞晝の月よ
夜中の太陽

羊の瞳
横長瞳孔

黒い流し目
撃ち墮として

此の世から
拐かしてしまはう

永遠に

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