しおしおん

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9/7/2024, 2:48:40 PM


ワン、ツー、スリー。
初めてだからついついバランスを崩してしまう。
ばたん、と倒れ込む君を受け止める。

ごめんねと軽い謝罪をしつつ、再度2人で立ち上がる。
もうこの手を離さないようにと。

ツギハギだらけの体を隠すように、
純白のチュールのドレスが揺れている。
見た目だけで見れば重さがありそう。
まぁ、今の彼女は皮膚と骨しかないから、
とんでもなく軽いのだけれど。

レコードから流れる音楽に合わせ、歩数を合わせる。
自分の手で工夫してよかった。

日本は火葬文化だもんね。
人の体が、粉しか残らないなんて残酷だよね。

聞き慣れたサイレント、赤のランプが当たりを照らす。
フィナーレだ。彼女を抱きしめる。

二度と会えない現実から逃げるように、
油の海にマッチを投げた。


、踊るように

9/5/2024, 11:21:07 AM

暑すぎる日本の夏。
今日も何もせず、暗い部屋の中液晶を眺める。

言うなれば私は引きこもりだ。
言わなくても引きこもりだが。
自分はまだ中学生なのに、もう昔を懐かしんでいる。
小学生の頃は何も気にせず、海にこもりまくっていたのが懐かしい。小麦色の肌も、白に近づいてきた。
子供の頃に集めた貝殻は、全部粉々になってしまった。
大人になったら、粉になったものですら記憶からなくなってしまうのだろうか。

昔ばかり見てはられないから。

、貝殻

9/4/2024, 3:28:49 PM

あなたの目が宝石のようで羨ましかった。

あなたは素敵な人。

私に持てない輝きを持つもの。

憎かった。

お願いだから

私だけの前で笑って

泣いて、

縋ってよ。


、きらめき

9/2/2024, 5:03:57 PM

『学校の放課後、実行。』

スマホなどの技術が発達している中、
僕達は手紙でやり取りしている。
…毎回こんな短さなので、手紙というよりメモだろう。
心の中、1人ツッコミを入れつつ屋上へ向かう。
今日も彼女のところへ。

今日は実行日なのだ。

「遅いぞササキ、珍しいな。」
屋上へのドアを開けた時、開口一番にその
セリフを言ったのがメモの送り主だ。

「ごめんごめん、よりにもよって今日、
日直だったんだよー。」

余計な言い訳だったのか、ムスッとした顔を見せる。
これはいけないぞと話を変える。

「ところで今日はどこでやるの?」

「最高のプランを用意したぞ!」
聞いて欲しかったのか、明らかに機嫌が良くなった。
説明が長く早口だったために、ところどころ聞き取れなかった。ただ、その最高のプランとやらをまとめると、

①ゲーセンで遊ぶ
②コンビニで買い食いをする(公園でも可)
③夜中の学校に忍び込む
④屋上で夜食を食べる

…といったものだ。ご覧の通り、実行と言ってもただの遊びなのだ。内容に関しては、ちょっとやんちゃな生徒みたいだ。こういったものが青春と呼ぶのだろうか。
いや、もしかして後半2つは犯罪なのかもしれない。
いや犯罪だけど、青春の楽しさの犠牲になってもらおう
などと考えているうちに、大きな声が僕の耳を貫いた。

「おいササキ!またボーッとしてるな!!」
早く行くぞと言わんばかりに手を繋いでくる。
まるで年下の子供のようだと笑いながらも、
彼女について行く。


痣だらけの手を引っ張ってくれるのは彼女だけなのだ。


、心の灯火

9/1/2024, 12:27:37 PM

好きぴとのLINEは既読を付けないように覗き見る。
LINEにおいて必須テクなのである。
いつもは暇だから遊ぼうだとか、飲みに行こうとか
チャンスがありそうな会話しかしていない。
ただ、日常というものは一瞬で崩れさるものだ。

今日お昼ご飯を食べ終わったあと、彼からLINEが来た。通知を見る。
「俺、彼女が出来ました😊」
なので遊びに行けないかもー。というものだった。

頭が真っ白になる。

そんなこと今まで言われるような、女の影を感じるようなことは無かったのに。既読が付けれない。
手が震えてしまう。次に頭の中に出てくるのは、後悔。
アピールが少なかったのかなとか、ちゃんと好きだと伝えればよかったな、とか。後になって役に立たない思考ばかり出てくる。

とりあえず、メッセージは2日置いた。もう開けない。


、開けないLINE

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