30日目
私の恋人は、背が高く、優しく、かっこよく、誰からも頼られ、誰からも好かれる。
完璧なくらい素敵な恋人。
ただ、私が、このことを話すとみんなの目線が冷たくなる。
それは、私の恋人が「女の子」だからだ。
みんな、「私のことは恋愛対象として見ないでね。」
なんて言うけど。
私だって、誰でもかれでも好きになるわけじゃない。
人が人を好きになるのと一緒。
ただその形が私とみんなは違うだけ。
みんなの言う普通の恋。
私からしたら、彼女と付き合うことが、普通の恋なのだ。
それを、どれだけ仲が良くても赤の他人に、とやかく言われる筋合いはない。
私にだって、人を好きになる権利がある。
もちろんそれは彼女にも。
両思いになる確率が低いと言われている中で、私たちはお互いが惹かれ合い両思いになったのだ。
私は、これからも、誰がなんと言おうと、どんな目で見られようとも、彼女を愛すことを絶対にやめない。
29日目
過ぎ去った日々
儚い日々
もう二度と戻ってくることのない日々
一日一日を大切に。
どうか、どうか信じて。
ありのままの姿を
ありのままの、自分を。
もう二度と、戻れない過去を忘れずに。
28日目
理科室にある1つの模型。
その模型には本当に命が宿っていると言わている。
みんなが教室に入ってくるのを後ろから眺めている。
私を見ることもなくみんなが通り過ぎていく。
私は、元々人と話すのが苦手だ。
怖がられてしまうから。
私は人と話すことがトラウマになってしまった。
みんなが私を見るのは決まって水曜日の授業だけ。
その時だけ、みんなが私を見て、私に触れてくれる。
私はそれが何よりも嬉しい。
みんなの前に立ち授業をする。
体の中身が見えている私を、今日もみんなは気味悪がる。
27日目
ある日私は、学校をサボって海に行った。
堤防を上って、港から一番遠い隅の方まで歩い、ただただ時間が流れるのを待っていた。
スマホを開き、私の好きな音楽をプレイリストの一番上から順に流していく。
生憎、今日は読もうと思っていた本を家に忘れてしまったらしい。
することも無く、スマホから流れる音楽に耳をすませ、ぼーっとしていた。
何時間か過ぎ、ふと前を見上げると、真っ赤に染まった夕日が恥ずかしそうに半分隠れ、こっちを見ていた。
音楽を止め、その夕日を眺めていると、鳴き声が聞こえた。
悲しい鳴き声だった。
その鳴き声の正体は、クジラ。
吸い込まれてしまいそうなくらいに綺麗な声。
でも、どこか儚い。ぼーっと聞いていると、自然と涙が出てくるような、そんな鳴き声だった。
「ねぇ教えて、あなたは何を思っているの?」
26日目
私は、あの夜のことを今でも鮮明に覚えています。
2人で手を繋いで、必死に走った。
街ゆく人並みをかき分け必死に走った。
行くあてもなく走り続けてたどり着いたところは海でしたね。
あの日、あなたが言ったことを覚えていますか。
「君は怖い?私は怖くないよ。だって、君がいるもん。名前も知らない君だけど。私とあなたは一緒、そんな感じがする。」
私は、その一言で決心が着きました。
ですが、神様が気に入ったのはあなただけでした。
3ヶ月後私はベットの上で目を覚ましました。
「どうやら神様は、あなたのことが気に入ったようですね。」
向こうで会えるか分かりませんが、私は君に会いに行きます。
私は少し微笑み、誰もいない病室から空に向かって。
羽ばたきました。
君のもとへ。