もちもち(ギャグを描く人)

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11/10/2023, 3:41:33 AM

#7『脳裏』

 脳裏に過ぎる。今さっきトラックに轢かれたことを。そして自分は異世界転生したんだっけ。
 そしてめざめると俺は既に馬車に跳ね飛ばされて。

 脳裏に過ぎる。俺は確か何故馬車に轢かれて、めざめたらモーターカーに跳ね飛ばされて。

 脳裏に過ぎる。俺はさっきはモーターカーだったが、次は機関車のようだ。何回俺は轢かれるんだろう。

 脳裏に過ぎる。軽自動車に轢かれて、空中で飛行機によってヒューマンストライクされて、海中で潜水艦に激突する。

 脳裏に過ぎる。たしか神様が俺を間違えて異世界転生させたんだっけ。死ぬ度に別の場所に転生しているけど、必ずリスキルされる。

「すまぬすまぬ! 次こそは上手くやるから!」

「あぁ……はい」

 脳裏に過ぎる。あれ? ここって俺が最初にトラックに轢かれた場所じゃん。それならばと考えた矢先に、俺は止まりきれなかった救急車に轢かれた。

「あ〜! もう現世に復活させてやろうと思ったのに! タイミングが最悪じゃった!」

「あの、もう大丈夫なので。神様は何もしなくて良いですよ」

「いや、そうはいかん! わしはお前を何としても異世界に送る! 次だ、次で成功するから!」

 脳裏に過ぎる。あれ? これってまた繰り返すのか? 俺は既に場所に跳ね飛ばされていた。

11/9/2023, 2:44:55 PM

#6『意味のないこと』

 私はこの世界を守るスーパーヒーロー戦隊のリーダー。レッドだ。世界の人々や街を、襲ってくる悪い人たちや、怪物から守っている。
 しかし今私の戦隊には、私のレッド。一人しかいない! つまり私一人でも今までに世界を守り続けていると言うことになるのだが……、そろそろ寂しくなってきたのだ。

 別に仲間が欲しい分けではない。応援してくれる人が欲しいだけだ。
 何せ、私は全ての敵を一撃で倒せるからな。だが、何故か周りの人々はそれに気が付かない。何やら『最後の一撃』と技名を付けられており、褒めてはくれるのだが、本当に強い人とは思われていない。

 だからもっと威厳と強さを見せなくてならないと考えた。だから私はこう考えた。
 どんな敵も一撃で吹っ飛ばす力を見せつけてやろうと。

 そんな考えごとをする私の目の前には、丁度試し打ちをしてくれる悪い人がいる。

「お前がレッドだな……世界を守るヒーローか。今まではそんな肩書きがお前を守ってくれていたようだが今日でそれも終わりだ。
 俺はブラック。影からお前を応援していた元一般人だが……、カリスマも周りの信頼も薄すぎるお前のせいで、俺の家族は化け物にやられた。

 自分は一人で十分だと言い続けた結果がこれだ。だから俺はヒーローを名乗る奴は嫌いなんだ。
 どうせ守ってくれずに、大切な人を失う人も世界中のどこかには絶対にいるってな……!」

「私はレッド! 世界中を守るスーパーヒーロー! 君がどんな理由で私を倒すかなど知らん! 成敗してくれる!」

「人の話くらい少しは聞けええぇ!」

 ブラックは私を本気で殴る。それを私は一発は受け止めた。だが次で終わりである。

「ぐぼぉあっ! なかなか良いパンチを持っているな。だが次で終わりだ。こんなことやめて、すぐに普通の生活に戻るのだ! 行くぞ! 必殺! ぐっほぉッ!」

 私は今技名を叫ぼうとした時、殴られた。

「おい、これから格好つけようとしているのだ。邪魔をしないでくれるかな?」

「そう言うところが嫌いなんだ! お前が強いのは良く知っている! だが、遅すぎるんだよ!」

「ぎゃっ! ま、待つんだ! はあああああっ! 必殺奥義・一龍……がっは!」

 畜生! 技が決まらないせいで思い通りにいかない! ならばもっと短く。

「そうやっていつもいつも格好つけやがって、そんなんでしっかり人々を守れんのかよ!」

「ふん、これを避けられるかな? 行くぜ! ぬぉわああっ!」

 綺麗なアッパーカットを決められる。おかしいな? 何故こうも思い通りにいかない? 技を見学するだけでこの喧嘩も終わると言うのに。

「さっきから五月蝿えんだよ! 殴るならさっさと殴ってこいやぁ!」

「そうか……そういうことか。君はどうやら……本気で私を怒らせ……ぶへっ!」

 口上を述べることも許されないだと!? なんて頑固な男だ。この容赦のなさ、いい応援団を作ってくれそうだ!

「なるほど! ブラック! 私の元にこないか!?」

「やっぱり何も話聞いてねえじゃねぇか! もういい、レッドの歴史はここで終わりだぁ!」

「私はその性格を見込んでいってるのだ! だから、ぶっ、べっ、ぼがぁっ……!」

 怒涛の三連撃。ブラック! 何故私の話を聞いてくれない! 君の話なんてどうでも良いじゃないか! 私の声に耳を傾けてくれよ!

「おいやめるんだブラック! 私は今気が変わったのだ! だからその手を! ぐっふ……あ、これやべぇなぁ……」

 強烈なパンチがみぞおちに入り、ついに私は血を吐く。

「これで終わりだレッドぉ! 歯食い縛れぇ! 顔面ごと砕いてやらぁ!」

「顔面ごと!? 待て待て待て待て!」

 そして最後に私は顔面に強烈なパンチをくらい。脳震盪を起こしたことを自分でも理解した。
 脳が激しく揺れる。頭蓋骨が砕け、頭はズタボロになる瞬間を。

 それから私は病院に搬送されたが、そのまま意識は戻ることは無かった。

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 そうしてレッドは、話を聞かない意味もない、ただの強い人と呼ばれるようになったのは別の話。

11/8/2023, 8:11:25 AM

#5『あなたとわたし』

 貴方と私はいつも一緒。

「ヌワアアアアアッ!」

 絶対に離れることなく、その手を一時も話すことはなかった。

「ハァアアアアァァァッ!!」

 どちらが大きいかなんて、くだらない喧嘩もしたことあるけど。

「フンスッ!」

 いつでも貴方と私は運命共同体だった。

「今日も元気だああっ!」

 だからこの手が離れることなんて考えられない。絶対に無いと思ってた。

「ぐおおおおおあああっ!? なんてことだぁああ!」

 貴方は私の前から消えてしまった。どうして? なんで? 私の何がいけなかったの?
 何度も考えた後、落ち着いて答えを導き出す。
 あぁ、この人のせいだと。

「畜生おおおおおお! あああああああ! お前だけは残っていてくれええぇ……」

 だから私は決めた。すぐに貴方のことを追いかけると。

「こちら……もう片方も駄目ですね。もう少し早ければ……」

 そして私も消えた。

「それでは動かしてみてください」

 ……。

「動く……でも聞こえない! 左右の上腕二頭筋の声が! うわあああああ!!」

11/6/2023, 3:24:54 PM

#4『やわらかい雨』

 今日は良くトラックが降る日だ。曇り空に無数の黒い点が表れ、大型トラックが降ってくる。落下してくるトラックは全て爆発四散し、巻き込まれた人は遺体さえも残さずに突如姿を消す。政府の研究機関はこれを『トラック転生現象』と呼んだ。

 次の日は晴れ空に時空の歪みが発生し、無数の刀剣が降り注ぐ。それは全ては歴史上に載っている金銀財宝の類も含まれており、その日は武器を手にした市民による暴動や、一攫千金を狙う者が現れる。政府の研究機関はこれを『黄金律の雨』と呼んだ。

 次の日は積乱雲発生後に、大量のマシュマロや水あめ、お餅など柔らかい食べ物が降ってくる。これが起きた日は市場が異常に繁盛し、その日だけで糖尿病患者が大量発生する。政府の研究機関はこれを『やわらかい雨』と呼んだ。

 僕の地域は2分の1の確率で異常気象が発生する。地域の人は既に慣れてしまっているが、昨日は学校を卒業してから3年ぶりに出会った友人が、さらに数日前に発生した普通の台風の影響で起きる、体が岩になる『岩化現象』に巻き込まれ……。
 今日の『トラック転生現象』によって、運良く岩が破壊されることで無事生還。転生を免れたので会うことが出来た。

 全く……、赤い月が特徴の『厄災の残り香現象』で自衛隊が出動したことで家族が危険に晒されたり。呆れた地域だ。
 普通にたまに降ってくる隕石の雨の方が数倍マシというものだ。

「あぁ〜空から降ってきたマシュマロ柔らかくて美味え〜」

11/5/2023, 1:05:20 PM

#3『一筋の光』

 一筋の光とは、一直線に伸びる一本の光のことである。長さは言うまでもないが、太さは様々。
 私は通称『国境なき狙撃手』と世界から呼ばれているただの犯罪者だ。

 世界中の貧困地区や紛争地帯を回る"国境なき医師団"という医療活動をしている彼らではなく、私は自前のスナイパーライフルを持って、世界中を駆け回る遊び人兼狙撃手。

 狙撃手だからと言って人は殺した事はない。生憎私はグロとホラーに滅法弱いからだ。勿論殺したくないという気持ちもある。
 では何を撃ち抜いているのか? それは、通行人が飲み食い歩きしている菓子や飲み物である。

 超遠距離から12倍スコープを覗き、通行人の片手に持つ食べ物を、周囲の迷惑にならないようにピンポイントに破壊する。
 この時、当然炭酸ジュースのペットボトルが爆裂し、戸惑う人々の反応がたまらなく楽しい。

 だから私はSNSにて『国境なき狙撃手』と呼ばれている。

 しかし私はある日一つの大きなミスを犯した。
 私はこれによって失明し、狙撃ライフを終了した。

 その日に見つけたとあるターゲット。私は何を考えたのかちょっとした軽い気持ちで、ライフルにレーザーポインタを装備し、とあるビルの屋上でターゲットを覗く。

 そのスコープの先には、何故か鏡を掲げるターゲット有り。鏡から反射する太陽の一筋の光により、私の目は焼き切れた。

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