#3『一筋の光』
一筋の光とは、一直線に伸びる一本の光のことである。長さは言うまでもないが、太さは様々。
私は通称『国境なき狙撃手』と世界から呼ばれているただの犯罪者だ。
世界中の貧困地区や紛争地帯を回る"国境なき医師団"という医療活動をしている彼らではなく、私は自前のスナイパーライフルを持って、世界中を駆け回る遊び人兼狙撃手。
狙撃手だからと言って人は殺した事はない。生憎私はグロとホラーに滅法弱いからだ。勿論殺したくないという気持ちもある。
では何を撃ち抜いているのか? それは、通行人が飲み食い歩きしている菓子や飲み物である。
超遠距離から12倍スコープを覗き、通行人の片手に持つ食べ物を、周囲の迷惑にならないようにピンポイントに破壊する。
この時、当然炭酸ジュースのペットボトルが爆裂し、戸惑う人々の反応がたまらなく楽しい。
だから私はSNSにて『国境なき狙撃手』と呼ばれている。
しかし私はある日一つの大きなミスを犯した。
私はこれによって失明し、狙撃ライフを終了した。
その日に見つけたとあるターゲット。私は何を考えたのかちょっとした軽い気持ちで、ライフルにレーザーポインタを装備し、とあるビルの屋上でターゲットを覗く。
そのスコープの先には、何故か鏡を掲げるターゲット有り。鏡から反射する太陽の一筋の光により、私の目は焼き切れた。
11/5/2023, 1:05:20 PM