#6『意味のないこと』
私はこの世界を守るスーパーヒーロー戦隊のリーダー。レッドだ。世界の人々や街を、襲ってくる悪い人たちや、怪物から守っている。
しかし今私の戦隊には、私のレッド。一人しかいない! つまり私一人でも今までに世界を守り続けていると言うことになるのだが……、そろそろ寂しくなってきたのだ。
別に仲間が欲しい分けではない。応援してくれる人が欲しいだけだ。
何せ、私は全ての敵を一撃で倒せるからな。だが、何故か周りの人々はそれに気が付かない。何やら『最後の一撃』と技名を付けられており、褒めてはくれるのだが、本当に強い人とは思われていない。
だからもっと威厳と強さを見せなくてならないと考えた。だから私はこう考えた。
どんな敵も一撃で吹っ飛ばす力を見せつけてやろうと。
そんな考えごとをする私の目の前には、丁度試し打ちをしてくれる悪い人がいる。
「お前がレッドだな……世界を守るヒーローか。今まではそんな肩書きがお前を守ってくれていたようだが今日でそれも終わりだ。
俺はブラック。影からお前を応援していた元一般人だが……、カリスマも周りの信頼も薄すぎるお前のせいで、俺の家族は化け物にやられた。
自分は一人で十分だと言い続けた結果がこれだ。だから俺はヒーローを名乗る奴は嫌いなんだ。
どうせ守ってくれずに、大切な人を失う人も世界中のどこかには絶対にいるってな……!」
「私はレッド! 世界中を守るスーパーヒーロー! 君がどんな理由で私を倒すかなど知らん! 成敗してくれる!」
「人の話くらい少しは聞けええぇ!」
ブラックは私を本気で殴る。それを私は一発は受け止めた。だが次で終わりである。
「ぐぼぉあっ! なかなか良いパンチを持っているな。だが次で終わりだ。こんなことやめて、すぐに普通の生活に戻るのだ! 行くぞ! 必殺! ぐっほぉッ!」
私は今技名を叫ぼうとした時、殴られた。
「おい、これから格好つけようとしているのだ。邪魔をしないでくれるかな?」
「そう言うところが嫌いなんだ! お前が強いのは良く知っている! だが、遅すぎるんだよ!」
「ぎゃっ! ま、待つんだ! はあああああっ! 必殺奥義・一龍……がっは!」
畜生! 技が決まらないせいで思い通りにいかない! ならばもっと短く。
「そうやっていつもいつも格好つけやがって、そんなんでしっかり人々を守れんのかよ!」
「ふん、これを避けられるかな? 行くぜ! ぬぉわああっ!」
綺麗なアッパーカットを決められる。おかしいな? 何故こうも思い通りにいかない? 技を見学するだけでこの喧嘩も終わると言うのに。
「さっきから五月蝿えんだよ! 殴るならさっさと殴ってこいやぁ!」
「そうか……そういうことか。君はどうやら……本気で私を怒らせ……ぶへっ!」
口上を述べることも許されないだと!? なんて頑固な男だ。この容赦のなさ、いい応援団を作ってくれそうだ!
「なるほど! ブラック! 私の元にこないか!?」
「やっぱり何も話聞いてねえじゃねぇか! もういい、レッドの歴史はここで終わりだぁ!」
「私はその性格を見込んでいってるのだ! だから、ぶっ、べっ、ぼがぁっ……!」
怒涛の三連撃。ブラック! 何故私の話を聞いてくれない! 君の話なんてどうでも良いじゃないか! 私の声に耳を傾けてくれよ!
「おいやめるんだブラック! 私は今気が変わったのだ! だからその手を! ぐっふ……あ、これやべぇなぁ……」
強烈なパンチがみぞおちに入り、ついに私は血を吐く。
「これで終わりだレッドぉ! 歯食い縛れぇ! 顔面ごと砕いてやらぁ!」
「顔面ごと!? 待て待て待て待て!」
そして最後に私は顔面に強烈なパンチをくらい。脳震盪を起こしたことを自分でも理解した。
脳が激しく揺れる。頭蓋骨が砕け、頭はズタボロになる瞬間を。
それから私は病院に搬送されたが、そのまま意識は戻ることは無かった。
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そうしてレッドは、話を聞かない意味もない、ただの強い人と呼ばれるようになったのは別の話。
11/9/2023, 2:44:55 PM