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4/12/2023, 12:25:07 PM


今日は快晴だ。雲ひとつない。
本来であれば、明るい気持ちになれるであろうが、
あいにく今日はこの快晴が憎い。

天候が悪ければ、君が海外に飛び立つのを少しでも延ばせられるのに。
こんなことを思うなんて最低なのは僕にもわかってる。
君は希望を持って前に進もうとしている。その邪魔なんて到底できない。

僕も前に進まなければならない。
だけど、ここまで気の許せる友達は、僕には君しかいなかったんだ。

「帰国する時連絡するわ。お前も頑張れよ!」

とだけ言い残して乗り場に向かっていってしまった。

「待ってる。留学頑張れよ。」

これしか言えなかった。この言葉で精一杯だった。一気に孤独を感じ始めた。

僕はちゃんと笑えていただろうか。
こんなにも寂しがっていることがバレてないといいけど。


飛行機が飛び立つまで、僕は棒立ちで見ていることしかできなかった。
飛行機がゆっくりと動き出す。しばらく走ったあと、車輪が滑走路から離れた。

今日は快晴だ。飛行機が見えなくなるまでここにいよう。

そう思ったのに、君を乗せた飛行機はすぐに遠くの空へ消えていった。

「なんか、あいつみたいだな。」と、ふと思った。

次はいつ帰ってくるのだろうか。
君のことだから、帰ってきてもまたどこかに行ってしまうかもな。

まぁでも、僕はどこにも行かないから、君が帰ってくるのをのんびり待ってるよ。

4/9/2023, 1:28:40 PM

俺は最初、お前のことを弱いと思っていた。

毎日気が強い奴らにいじめられているくせに、ずっとへらへら笑ってる。
俺が止めに入っても、
「僕は大丈夫だから!」
なんて言ってる。大丈夫なわけないだろ。抵抗もできないくせに。

だけど、他の奴らがいじめられてると、誰よりも先に助けに行くよな。
自分がどれだけ弱かろうとケガしてようと関係なく、俺よりも先に飛び出していく。

そんなことしてたら、お前すぐ死ぬぞ。
もっと自分のこと大事にしろよ、と何度言ったことか。

それでもお前は助けにいく。自分はいいけど、他の人がいじめられてるのは許せないんだと。

もし俺がお前の立場なら、誰かに助けは求めるが、自分が助けに行こうとは思えないかもしれん。
立ち向かえる気がしないはずだ。


だから俺にはわかる。


お前は誰よりも強い。そして誰よりも優しい。


そんなお前が、今は愛する人を見つけて幸せそうなのを見れて、俺は嬉しいよ。

こうして結婚式を見れているのが、本当に嬉しい。


苦労してきたお前が、誰よりも幸せになることを願ってるよ。ずっとな。






よし、俺もそろそろ結婚するか。




4/7/2023, 1:03:33 PM

日が沈む。
沈む夕日に照らされて、看板やミラーが輝く。

人影は、より濃くなる。
そして、夜に溶けていく。

赤く染まった住宅街も、だんだんと黒に包まれる。

僕の心も、夕日のように燃え上がり、
そして、夕日とともに沈んでいった。


「告白、ダメだったな…。」


日はまだ沈みきっていない。


早く夜になってくれ。





4/6/2023, 1:37:19 PM

毎朝電車でドアに寄りかかっている女の子。

多分僕と同い年ぐらいの高校生なんだけど、同い年とは思えないくらい落ち着きがあって、セーラー服がよく合う綺麗な人だった。

夏休みが終わってから、その人を見かけるようになった。
僕の定位置もドアのそばで、毎朝向かい合う形で立っている。
いつもその状態で、それぞれ本を読んだりスマホを見たりしている。
僕はその時間が1番好きだった。

一度だけ、その人と目があったことがある。

その人は、一重で少し大きな、優しい瞳をしていた。

僕はその瞬間を何故か忘れられなくて、その次の日からもう一度目が合うことを期待していた。

期待し始めてから数ヶ月たった頃、その人を電車で見かけることが少なくなってきた。

そして、電車のドアから春の暖かい風が入るようになった時、僕はその人が、僕よりも年上だったことを知った。

今ならわかる。その人が読んでいたのは参考書だったってこと。
カバーを外していたから分からなかったが、偶然同じものを買った時にやっと気づいた。


僕はまだ、あの人の瞳が忘れられない。

だけど今、僕の目の前には誰もいない。

あの人は、どこの大学に行ったんだろう。

4/6/2023, 10:55:45 AM

つまらない学校が終わった。
今日も下を向きながら歩いていた。部活が遅くまであるので、いつも帰りは夜になる。
疲れていて憂鬱なのに、寒さで指も痛くなってきてさらに嫌になる。

「明日なんてもうこなくてもいいんだけどな…。」

毎日こんなことを思う。

学校にも馴染めず、友達もなかなかできず、部活も厳しい。
早くこの学校を辞めて転校したい、と思い続けてもう半年以上がたつ。
行動に移すのは想像以上に難しかった。

おまけにここはそこそこ栄えている場所で、人も車も多い。
朝は人混みやクラクションの音でさらに憂鬱になる。
夜もうるささはそこまで変わらない。

こんな場所から早く出ていきたかった。

でも大学生になるまであと2年はかかる。
気が遠くなりそうだった。

今日も見えない明日のことを思いながら歩いていた。
繰り返される、同じような日々。
でも今夜は少し違った。

ビルが並ぶ道を抜け、住宅街につながる橋を渡ろうしたが、今日はやけに人が多かった。
皆空にスマホを向けている。
私もつられて空を見上げた。

すると、見たことがないくらい輝く星空が広がっていた。

憂鬱だったことも忘れるくらい、綺麗だった。

それを見て、なんだか泣きそうになってしまった。
ずっと見ていると、吸い込まれそうな気もした。
ずっとここに居たいと思った。
この瞬間にずっと留まっていたいと思った。


でも、そうしてはいられない。

いつまでもここにいるわけにはいかないので、悔しいが歩みを始めることにした。

また少しだけ、憂鬱な気分に戻る。
だけど気持ちがすっと楽になった気がした。

それに、心の拠り所も見つけられた気がする。

「今度、夜空の写真集でも買ってみようかな。」


つまらない日常の中に、楽しみが1つだけできた。






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