つまらない学校が終わった。
今日も下を向きながら歩いていた。部活が遅くまであるので、いつも帰りは夜になる。
疲れていて憂鬱なのに、寒さで指も痛くなってきてさらに嫌になる。
「明日なんてもうこなくてもいいんだけどな…。」
毎日こんなことを思う。
学校にも馴染めず、友達もなかなかできず、部活も厳しい。
早くこの学校を辞めて転校したい、と思い続けてもう半年以上がたつ。
行動に移すのは想像以上に難しかった。
おまけにここはそこそこ栄えている場所で、人も車も多い。
朝は人混みやクラクションの音でさらに憂鬱になる。
夜もうるささはそこまで変わらない。
こんな場所から早く出ていきたかった。
でも大学生になるまであと2年はかかる。
気が遠くなりそうだった。
今日も見えない明日のことを思いながら歩いていた。
繰り返される、同じような日々。
でも今夜は少し違った。
ビルが並ぶ道を抜け、住宅街につながる橋を渡ろうしたが、今日はやけに人が多かった。
皆空にスマホを向けている。
私もつられて空を見上げた。
すると、見たことがないくらい輝く星空が広がっていた。
憂鬱だったことも忘れるくらい、綺麗だった。
それを見て、なんだか泣きそうになってしまった。
ずっと見ていると、吸い込まれそうな気もした。
ずっとここに居たいと思った。
この瞬間にずっと留まっていたいと思った。
でも、そうしてはいられない。
いつまでもここにいるわけにはいかないので、悔しいが歩みを始めることにした。
また少しだけ、憂鬱な気分に戻る。
だけど気持ちがすっと楽になった気がした。
それに、心の拠り所も見つけられた気がする。
「今度、夜空の写真集でも買ってみようかな。」
つまらない日常の中に、楽しみが1つだけできた。
4/6/2023, 10:55:45 AM