かも肉

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12/2/2024, 2:15:49 PM

作品22 光と闇の狭間で


 小さい頃、よく屋根裏部屋で遊んでいた。 
 近所に住んでいる幼馴染が遊びに来たら、2階にある屋根裏部屋で隠れて、電気を真っ暗な状態にしたままでかくれんぼをしていた。視界がゼロだから、隠れている人の息の音や、音の反響の変化を聞いたりとか、聴力でどうにか探し当てるという、なかなかに酷でちょっと独特なゲームだ。
 その記憶のせいか、自分にとって光と闇の狭間は、音だと思っている。
 周りが思っているものとは違うらしいけど、大事な思い出からくるこの考え方が、じつは結構気にいっている。
 その耳が、最近聞こえづらくなってきた。
 病気とかではないけど、原因がわからないから、どうしようもできない。
 真っ暗な部屋で寝て、日差しの眩しさで起きて。光か闇かしかない世界は、僕には辛い。
 とりあえず、しばらくはかくれんぼの世界を楽しもうと思う。辛いと感じるのはその後だ。あの子との思い出を反芻しよう。


⸺⸺⸺
ムズすぎる。抽象のお題からしかかけない
 

12/1/2024, 3:05:12 PM

作品21 距離 


 少しだけ。ほんとに少しだけ、この世界は私には生きづらかった。
 好きなものを好きだと言うと子供みたいと言われ、嫌いなものを嫌いと言うと変だと笑われ。そういう、どこにでもありふれている些細なことが、ちょっと苦しかった。
 だから、好きなものはみんなに隠して距離を置いて、嫌いなものは理解あるフリして必死にまともに振る舞った。みんな、そういうのを当たり前にやっているから、ちゃんとみんなに合わせてその通りにした。結構頑張った。
 たぶん、それが駄目だったんだろうな。
 いつもより帰るのが遅くなったある日。家に帰って一人になると、体から力が抜けて、気づくと涙で顔が濡れていた。袖で目元を拭くが、全然止まらなかった。
 その日から毎日、一人になると泣いてしまうようになった。
 
 私には宝物がある。宝石みたいな髪飾りがついてる、陶器でできた小さな人形だ。とっても大事で大好きな物だ。けれどこの好きは、周りの人には理解されなかった。
 私には怖いなものがある。恋をすることだ。私の恋は、正常な人からするとおかしいらしい。理解されることなんて、おそらく一生ない。間違えて気持ちを伝えてしまったりなんてしたら、相手を傷付けることになる。その理由は言えない。だから深く語らず恋が嫌いと言っていた。そしたら、おかしい人ってレッテルを貼られた。
 そういう、ほんとに些細なことが、ちょっとだけ耐えきれなかった。

 今日も泣いた。
 嫌なことはなかった。強いて言うなら、恋をしてしまった。昔も恋してあんなに傷ついたのに、懲りないな。あははって、一人で乾いた笑い声を鳴らす。
 いいことは、あるわけない。泣いてしまったあの日からずっと、起きてない。
 また、さっき止まったはずの涙がまた出てきた。涙を止めようと上を見る。窓の外から夜空が見えた。
 星が宝石みたいにキラキラして綺麗だった。そのまま、なんとなく星に手を伸ばすけど、遠すぎてとどくはずがない。
 とどいたらな。星との距離が近かったら、どんな願いも叶いそうなのに。
 毎晩寝る前に、まともになれますようにって、願ってる。叶ったことなんて、一瞬もないけど。
 なんかもう、願うのも、まともになろうもするのも、好きを隠すのも、嫌いを抱き続けるのも、私を隠すのも、全部疲れたな。
 なんか、もう、いっか。
 窓をガラガラと開ける。外の空気は思った以上に冷たかった。
 ベランダの柵に足を置く。高さ的にどうなるかはわからないけど、どうなってもいいや。
 身を乗り出す。あ、待って。最期に見るなら星がいい。空に向かって飛ぼう。
 飛び越える。部屋の中が少し見えた。なぜだか、部屋に飾っている宝物が泣いてるように見えた。
 体がふわりと軽くなる。星が、今まで見た以上に輝いて見えた。流れ星が、みえた。
 地面が近づく。なんでだろう。今までで一番、息がしやすいかもしれない。
 嗚呼、私は今とてつもなく幸せだ。
 体中が熱く、痛くなった。



⸺⸺⸺
作品10 宝物
作品11 どうすればいいの?
の人が出てきます。

11/30/2024, 11:46:12 AM

作品20 泣かないで


 今夜もいつもみたいに過ごしていた。
 いつもみたいに、なんとなくネットに触れて、なんとなく見知らぬ誰かに愛を呟いて、なんとなく気分を動かして、なんとなく口角上げて、なんとなく息をして。 
 なんとなく生きていた。
 それは、いつもと同じ。
 だけど今日は、変なのが一つ混じった。なんとなくこのままじゃ駄目だと思うよって。
 この“なんとなく”まみれの生活、なんだか悲しくないか?辛くないか?苦しくないか?この生活は明日もきっと同じなんだろ、変わることなどないんだろ?来週も、来月も、来年も。永遠に“なんとなく”。それってなんか、可哀想だな。
 そう聞かれたから考えてみる。悲しいどころじゃない。言葉では表しきれないほど苦しいし寂しい。冷たい。それはそんなのだ。と返す。
 あーあ。考えちゃった。気づいちゃったね
 漠然とした何かが私を襲ってきた。
 呼吸が苦しくなってきて、心臓が激しく動き出す。目と口から何かが零れそうになる。汚い。我慢しなくちゃ。
 ぎゅうって体を小さくすると、涙が溢れでた。声にならない叫び声も出てきた。
 何もかも全く止まらない。嗚咽が出ちゃう。嫌だ。誰かに見られたら変な奴だと思われる。笑われる。心配される。目立ってしまう。みられる。
 でもホントは、誰かに見られて、気に留めてもらいたいんでしょ?って、誰かが耳元で言う。誰なんだよお前。
 ぐるぐる考えが頭を巡る。そしたらその分、心が締め付けられる。助けて誰か。
 こういうときに、慰めと心配の言葉をかけてくれる人が、いればいいのに。泣かないでって言ってくれる人が、いればいいのに。泣くのも認めてくれる人が、いたらいいのに。何も気にしなくていいくらいに強く抱きしめてくれる人が、いたらいいのに。私が一人じゃなければ、いいのに。
 私は、これ以上泣きたくない。だれかこの気持ちをとめて。

 今夜は一人、部屋の真ん中でうずくまる。
 わたしはこどくだ。

11/29/2024, 10:37:03 AM

作品19 冬のはじまり


 目の前で風が踊り始めたから、風花がとてもキレイだなと思っていた。すると目の前に、キラキラ輝いた黒髪が通った。美しかった。
 そして私は、髪に六花を付けたキミに、見惚れてしまった。私の心に、春が来た。
 話し掛けようと、キミの隣に行く。けれでも、すでに先客がいたようだ。
 隣にいるのは、キミの恋人さん。

 赤くなった鼻を隠して、白色の息を吐く。
 あっという間に、冬が始まっちゃった。

 私の季節は、巡るのが早すぎる。



⸺⸺⸺
薪割りから解放される季節の始まりです。
きれませんように。

11/28/2024, 12:38:20 PM

作品18 終わらせないで


 映画で言うなら 最後の場面
 終わりたくないよ スローにして
 こんな当たり前が大事だってことに
 なんで今気づいてんの?
 
 隣で突然、君が歌いだしたあの曲。なんて曲?って聞いたら、秘密って返された。
 だからこの曲を聴くときには、必ず、君が隣に居た。それが自分にとっての、当たり前だった。
 そんな当たり前も、あと少しで終わる。
 終わってしまうには、流石に早すぎると、何度も何度も思うけど、意外とこんなものかもしれないね。
 だからせめて、二人だけのエンドロールは豪華なものにしよう?
 夕日が赤くて綺麗な浜辺で歩いたり、イルミネーションを見たり、駆け足の季節を感じたりしてさ。もちろん、あの曲も一緒に。きっと楽しいよ。
 失いたくないって思うはずだよ。この時間が終わらなければいいなって思うはずだよ。
 きっとね。……うん、やっぱり。
 まだまだ、自分たちのエンドロールには早すぎるよ。だから終わらせないでいよう。約束だ。
 自分はそんな感じの、
 
 意外なオチに賭けている



⸺⸺⸺
スピッツの『エンドロールには早すぎる』の歌詞を入れてます。お題を見て、この曲がずっと頭の中に流れてしまったので、書いちゃいました。うまく組み込めない。
ぜひ、聴いてみてください。すっごい優しいです。
スピッツは、本当に聴く精神安定剤。歌詞も曲も優しくて、ちゃんと聞いたら中々すごいことを言っているものもあるけど、それも含めてとても良いです。ライブ行ってみたい絶対楽しい。
そんなこんなでテストやばいです。

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