上手くいかなくたっていい
だって、この世界はだいだいバグってるから。
おかしなことで溢れているし、完璧に完成されたものはない。
完成しているように見える未完成なそれらは、僕らの感性をおかしくするには十分で。
だから、きっと上手くいかなくたっていい。
なんだか運が悪いのも、世界に味方がいないのも、人生が上手くいかないのも。悪いのは、自分ではないから。
上手くいかないなぁ、って自嘲するように、まぁいっか、って楽観的に。
きっと、それくらいでちょうどいい。
蝶よ花よ
何よりも大切だった。大事にしたかった。
その想いが行き過ぎて、愛ではなくなることもあったけれど、それでも愛していたのだ。
死の間際に、母はそう言った。
大切にされすぎて、可愛がられすぎて、苦しくなって。
蝶よ花よと育てられたはずなのに、なぜか自分が嫌いで、母が嫌いだった。
愛が、こんなにも重荷になるだなんて、きっと母も私も思ってなかっただろう。
これは望みではないけれど、もしも、またあなたの元へ生まれてくるのならば、そのときはもっとちゃんと互いを愛せたらいい。
だから、次会ったときも笑ってよ。
最初から決まってた
少女の顔が悲しげに歪む。
自分一人の力では、もうどうにもならないことを少女はよく知っていた。
なぜなら、もうすでに何度も試したからだ。
突然あり得ないことをしだすのも、ストーリーを壊すため動くのも、シナリオにないことをしようとするのも。全部、もう試した後だった。
だからこそ、少女はもう知っていたのだ。これは最初から決まっていたのだと。決して変わることのない軸なのだと。
知った上で、少女は泣きながら、自身の意とは反するそれを受け入れる。流れ落ちる涙で霞む視界の中、合わせた照準はあまりにも完璧で、そっと引き金を引いた。
これは、殺人鬼と呼ばれた優しすぎる少女のお話。
太陽
雲ひとつない青空はあなたの独壇場。
きっとそれはいいことなんだろうけれど、それでもたまに思うんだ。
隠れる場所のないこの青空の中で、きみはいつ休むことができるんだろうって。
誰よりも、何よりも、輝けるきみは、笑顔を絶やさないから。でもその笑顔がたくさんの苦労の上でのものだと知っているから。
だから、雨に隠れて泣かなくてもいい。快晴の中できみが泣いたっていいんだよ。
いいんだよ、そうなったって。
鐘の音
鳴り響くそれは、祝福か、断罪か。
呪いか、魔法が解ける合図か。
いつだって、その音は美しく、それでいて少し残酷だ。