H₂O

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最初から決まってた


少女の顔が悲しげに歪む。
自分一人の力では、もうどうにもならないことを少女はよく知っていた。
なぜなら、もうすでに何度も試したからだ。
突然あり得ないことをしだすのも、ストーリーを壊すため動くのも、シナリオにないことをしようとするのも。全部、もう試した後だった。
だからこそ、少女はもう知っていたのだ。これは最初から決まっていたのだと。決して変わることのない軸なのだと。
知った上で、少女は泣きながら、自身の意とは反するそれを受け入れる。流れ落ちる涙で霞む視界の中、合わせた照準はあまりにも完璧で、そっと引き金を引いた。
これは、殺人鬼と呼ばれた優しすぎる少女のお話。

8/7/2023, 2:03:16 PM