藁と自戒

Open App
4/3/2023, 8:09:58 AM

大切なものを地面に埋めた。

大切なものはいつも元気を与えてくれた。

大切なものを埋めるための穴を掘った。

大切なものは生きる理由をくれた。

大切なものを地面に埋めた。

大切なものはいつもそばにいた。

大切なものに土をかぶせた。

大切なものと、、、

あなたはどうかお大事に。

#大切なもの

4/1/2023, 11:43:07 AM

物書きは常に、嘘と付き合っている。
自分の中の嘘と虚構を膨らませ、
自分の中に点在する絞りカスとも取れない何かを
大きく誇張、膨張させて筆を走らせるのだ。

今日は「四月馬鹿」の日あらゆる人が物書きになる日。
現在広がる電子の海に自らの嘘を放流し、
嘘は大きく群れを成し、大海原へ駆けてゆく。

やがて嘘は満ち溢れ世界が嘘で満ちた頃。
実は、実はとネタバラシ。
物書きには無いその行為。

今日はどこか優しい嘘で満ちている。

#エイプリルフール

3/31/2023, 7:16:49 PM

色んな人に聞いてみた

Q:あなたにとって幸せとは

A
「わたしはめっぽう食べることですねえ、美味しいものを口いっぱいに頬ばっているときに、ああ、生きてるなあ、幸せだなあって思います。特に最近よく退勤後に食べるのが(省略)」

B
「私は寝ることですねー、最近クソ上司がアホみたいな量の仕事を押し付けて来るせいでろくに寝られなくってホント嫌になっちゃいますよ!でもその分、お布団に入る時に幸せだなーって思いますね。というかその上司、人には仕事を押し付けて自分は早々に夕食を食べに帰っちゃうんですよ!「○○のとんかつは早く行かないとしまっちゃうんだあ」とか言って、ほんと(暴言)」

C
「俺が幸せに感じる時はー、彼女と過ごすときッスかねー。なんっつーかマジでシアワセ?みたいな。ちょーハッピーになれるんですよ。一緒にいるだけで。おにーさんにはそういう人います?え?質問に答えてくださいって、今答えてるじゃないっすかー。イイじゃない教えてくれても。あー、でも最近彼女忙しそうでー、ずーっと仕事仕事でなかなか一緒に過ごせねーんすよね。はあー、だり。」

D
「ワタクシにとっての幸せ!ですかー!そりゃあもちろん、お客様にワタクシのお料理を褒めてもらうことですねえー!ワタクシもこの世界に足を踏み入れて長いですし?そりゃあもちろんプライドも持って仕事をさせていただいておりますし?ソーレを褒めていただけたら嬉しいことこの上ないですねえー!あー、でも最近バイトの男の子が元気なさそーで、そーゆーのこまるんですよねー。辛気臭いのが料理まで移るというか、辛気臭いって別に臭いの話じゃあないのにねー!そうそう、最近お得意様が(規制済)」

さて、あなたで最後です。
Q:あなたにとって幸せとは?

#幸せに

3/30/2023, 12:13:19 PM

窓を開けると、春の匂いが顔を出す。
部屋は匂いで充満し、心地よい気分になる。
よし、今日も良い1日になりそうだ。

母に行ってきますの言葉を交わし、学校への道を辿る。
まだ日が登る前の、少し肌寒い通学路。
眠りが覚めたばかりの、
朝自宅をする街の空気を感じる。

「よっ!」
後ろから子気味良い足音が近づいたと思ったら、
肩に衝撃をうけた。今日もいつもと同じ。
「なんだよ、毎朝殴るなよ」
流石に女の子の肩を殴り返すわけにはいかず、
彼女の背負ってるリュックを軽く小突いた。
「やったなこのやろー」
「さきに殴ったのはそっちたろー?」
しょうもないやり取りをしながら通学路を進む。

腐れ縁とでも言うのだろうか小中高と一緒だった。
だんだんと同じ時間を過ごしていくうちに
君が気になりだした。でも、今更おそいんだ。
今更恋になんて発展しない、深すぎる友情と、
この関係を壊したくなくて、今日も。
今日も2人で一緒に友達として、今日も。

#何気ないふり

3/29/2023, 4:25:03 PM

「私、ハッピーエンドは嫌いなの。」
読んでいた本をパタリと閉じて君は言った。
「だって、幸せなおわり方が幸せとは限らないから。」
どうにもわからないなと思いながら
「そうなんだ。」とだけ返した。
今日には夕日が差し込み、
君の髪を紅く染める。
綺麗だなとぼうっと眺めていると、
「ふふ、どうしたの?」と
君はいじらしく僕の顔を覗き込んでくる。
「綺麗だなって」と何気なく答えると、
君の頬も赤く染めたのは夕日がそれとも、
幸せは幸せだろと僕はそう思った。
「そろそろ帰ろっか。」
二人は帰路に着く。

明日はすぐに今日になり、
今日はすぐに昨日になった。
時間は飛ぶように流れ、
ある日は突然やって来るんだ。
話したいことがあるの。
と君に呼ばれた所は、
真っ白な病室だった。
君はどこか他人事のように、
「運が悪かったみたい。助からない病気だって」
と間が悪そうに言った。
僕は言葉が出なくて、
沈黙が部屋に闊歩した。
「受け入れられないのはわかるけどさ、
私が話したかったのは
最後まで君と過ごしたいなって」
と沈黙を破り君は言う。
「ごめん、ちょっと気持ちを整理してくるよ」
とだけ言い僕は病室から逃げ出た。

気持ちの整理はつかなかった。
ただ沈んでいく気持ちに押しつぶされそうになる。
堪らず病室のそとの椅子に座り込んだ。
このまま椅子ごと押しつぶされてしまいそうだ。
「大丈夫じゃなさそうだね?」と
ぼくの父親程の年齢の男性に声をかけられた。
男性は整った身だしなみのスーツ姿で
仕事が生き甲斐のサラリーマンという印象を受けた。
「彼女が病気で」と消え入りそうな声で僕は答える。
「ああ、やっぱり君もか」と彼は答えた。
「君も?」
「私は娘がね。臓器移植が必要なんだが」
「よくある話だがドナーが見つからなくてね」
「ああ」
情けない男たちの傷の舐め合いだった。
「君から似た空気を感じ取って話しかけさせてもらったよ」
「全部自分のためだ悪かったね」とコーヒーを奢ってもらった。
現在の状況を口にした事で
どうにか自分で立ち上がるだけの気力を得た。
「お互い様です。どうにか頑張りましょう」
とその場を後にした。

病室に戻ると彼女は窓を眺めていた。
「もう、戻ってこないかと思ったよ」
いつもいじらしく彼女は言う。
「まさか、そんな人間じゃないって知ってるでしょ」
「知ってるよ。いつも信じてるから」
彼女は微笑んだ。
彼女の笑顔にどれだけ救われただろう。
そしてこれからあと何回救われるだろう。
「いつも、ありがとね」
「なんだよ水臭いな。
これから私がしんじゃうみたいじゃないか」
「酷い冗談だなあ」
「作ろうよ最後まで、思い出を」
彼女との時間を最後まで大切にした。

彼女がいなくなってどれくらいかたった日。
すっかりと景色は変わってしまったが、
いつもとやる事は変わらない。
色褪せた世界で僕は日常を過ごす。
今日も学校へ向かう途中。
たまたま見知った顔を見かけた。
「コーヒー、ありがとうございました。」
「ああ、あの時の。彼女さんは残念だったね」
「知ってたんですか」
「まあね、訳あって聞かせてもらったよ」
「娘さんの方は」
「ドナーが見つかってね、どうにか一命はとりとめたよ」
「そうですか、それは良かったです」
「ああ、すまないね。ありがとう」
何が済まないのか、
何にありがとうなのかはわからなかったが。
どこがいたたまれなくなり、
挨拶もそうそうにその場を立ち去った。
後にその言葉の真相を知ることになるのだが、
誰かの幸せは誰かの不幸せらしい。
ある日の彼女の言葉を思い出した。

#ハッピーエンド

Next