君からのLINE
君からLINEをいただいた。
僕は疲れて帰ってきた。
既読をつけたら返さないといけないのでちょっと放置。
そしたら寝ちゃって、君からの電話。
さっきのLINE返せなくてごめんねと、LINEの返信を電話で。それから君の長い話が始まる。
うん、うんうん、うん、すごいね。
思いつく限りを全て話しきった君は眠りにつく。
僕はお風呂に入り、寝る準備をする。
布団に入ってアラームをセットする前に僕は君のことをどれだけ好きかというメッセージをLINEで送る。
そしてアラームをセットしてお祈りをして寝る。
すごく面倒くさくてしんどかったけど、今はとても楽しい。ずっと君が僕のことを好きでいてくれてて、今はもう僕のほうが君のことを好きだと思う。
おやすみ。
雨に佇む
雨の中、佇む私の車。
車は私の帰りをただひたすら待つ。
どれだけ雨が激しかろうと、強風が吹こうと、私を待つ。
それに関して車は文句を言わない。
ドアを開け、車のシートに座る。シートが私を包む。
エンジンをかける。心なしかいつも嬉しそうだ。
アクセルを踏み家に帰る。
今日は、遠回りして帰ろう。
色んな景色を君に見せてあげたい。
今度の休みは、どこへ行こう?
いつか日本の端まで君と行ってみたい。
色んな音楽をかけて、色んな車とすれ違い、いろんな土地の空の下、君と走り回りたい。
時にはヒヤッとすることもあるだろう。クラクションを鳴らされたり、君が故障して動かなくなって私を困らせることもあるだろう。
でも、君となら私はどこへだって行ける。
そろそろ洗車をしてあげよう。
僕にとって車は道具ではない。照れくさいが親友だ。
私の日記帳
黄色のノート。それが私の日記帳にあたる。
日頃はあまり向き合わないのだが、辛く苦しいときほど日記に向き合う傾向がある。
辛いとき、苦しいとき、もう辞めてしまいたいとき。
過去の自分の声を聞く。その当時の自分も逃げ出したくなって日記に向き合っている。でも、意外に前向きなセリフが書かれている。私はそれを読んだとき過去の自分に励まされる。
私はときに、自分の生きる意味をこう感じるときがある。
それは私が過去の自分を喜ばせるために今を生きているのだと。生まれてこのかた、私は自分に満足できない。どちらかというとろくな生き方をしてきていない。
そんな自分を満足させてあげるため今の自分が頑張る。お前はこの先も生き続けろ。未来ではこんな自分が待っていると見せてあげたい。
最近の自分は怠けていた。今日はしっかり日記に向き合って明日の自分への引き継ぎを行うとしよう。
向かい合わせ
僕は真夜中、恐怖の真っ只中にいた。
深夜3時を回った頃、僕はパチっと目が覚めた。
枕元の時計を見てあと4時間寝れると安心した。
体制を整えて仰向けになり天井を見上げた。
するとそこにはもう一人の僕が僕をじーっと見つめている。
動けない、声も出ない額には冷たい汗がじとっと吹き出している感じがした。
天井で僕を見ている彼は僕を睨んでいた。何も喋らない、表情も変えない。
ずーっと睨んでいた。そして彼は天井に吸い込ませるように消えた。
翌朝、起きたら布団に誰かバケツ一杯の水でもかけたかというくらいに汗でびしょびしょだった。
あれはなんなんだ。そんなことは考える暇も無く仕事に行く準備をし、家を出た。
仕事は今日も、散々だった。
ただただ自分のことが嫌いになった。
帰りの車の中で半分色んなことを考えながら運転していた。
その時ふと昨日の夜中に出た僕のことを考えた。
僕は僕の姿を客観的にじっくり見たことがなかったんだなと。僕はあんな顔をしていたのだなと。
あんな怖い顔をしてるとそりゃ人は寄ってこないなと。
どんなに辛くても笑顔でいなければいけない。
帰りの車の中でそう決めた。
やるせない気持ち
男は走り出した。
この心にあるモヤモヤは一体なんなんだ。
男はこのやるせない気持ちを発散する方法を走り込むことで発散しようとした。
しかし現実はどこまで走ったって、どんなに汗を流したってこのやるせない気持ちは心の奥底でふつふつと青く燃えていた。
男は走るのを辞めた。
気がついたら見晴らしの良い丘の上に立っていた。
夜景がすごくきれいだ。
この街の一体何人が幸せで、何人が自分のようなモヤモヤを抱えて生きているのだ。
そんなことは知ったことではない。
男は叫んだ。だが、やはり叫んだところでこのモヤモヤの火は消えない。
翌朝、気持ちの良い朝日がカーテンの隙間から覗いていた。
男は立ち上がり、仕事に行く準備をした。
そして家を出る。男の心の中にはまだモヤモヤは残っている。たぶん消えることはない。いや消してたまるか。
やるせないモヤモヤした気持ちはいつしか男の活力に変わっていた。そしてその炎は昨日に増して青くそして大きく燃え上がっていた。
男は呟く、行ってきますと。