【夢と現実】
あるところにどれだけ寝ても寝足りない
いつまででも寝れる子供がおりました
その子供は現実では大人たちが言う
”みんなが幸せ”という世界は
あり得ないのだと知っていました
ですから自分の好きに振る舞える夢の中で
それを実現しようとしたのです
夢の中である怪物が言いました
幸せに笑っている奴が憎いのだと
だけどその子供はどうして憎く思ってしまうのか
理解できません
「自分も笑ったら楽しい気持ちになれるのかも」
そう答えた子供が笑って見せると
その怪物は怒り出しました
手が付けられなくなった怪物に背を向けて逃げながら
『僕だって楽しくて笑っているわけじゃないのに』
そう思ったところで既視感を覚えます
現実でも身に覚えがありました
誰だって楽しくて笑ってるわけじゃなくて
幸せになろうとして笑おうとしてるのだと分かりました
でも遠くで喚く怪物に近寄る勇気はありません
本当に苦しんでる人にかけられるような
魔法は無いんだと自分の作り出した世界で
理解した子供は目を覚ましました
あの怪物のように喚くアレに触れないように
今日も大人のふりをするのです
2024-12-04
【さよならは言わないで】
お別れの挨拶をしたら
もう一生会わないと約束を結んでる気がして
その場その場で仮面を付けてるはずなのに
ちゃんと泣くことだって出来てしまうから
だから今生の別れにしないために
まださよならは言わないでおくよ
でももう闇の中で彷徨っているのは辞めにする
2024-12-03
【光と闇の狭間で】
自分が自分でいると発した言葉で誰かが泣くから
自分でない誰かの真似をして
僕が出てこないように首を縛って深く深く
誰も入ってこない場所に隠した
言葉にならない気泡さえ見えないくらい深い場所
もう誰も泣かないように誰にも見つけてほしくなかった
完璧に僕を隠蔽して
表面の僕がニセモノだと疑う余地もなく上手になって
僕なんて誰も覚えていないはずだったのに
きみが暗闇をこじ開けるから
僕が溢れ出して止まらない
でも日の光を浴びずにどれくらいの時が経ったのか
物心ついた時から隠したそれは
光の中じゃ生きていけなくなってしまったのに
今更掘り返されたって行く当てもないのに
もう溢れ出したそれは闇の中にも戻れない
あの時のまま止まった僕はどうすればいいの
2024-12-02
【距離】
誰よりも近い場所で
緊張で不規則な呼吸や高鳴った心音もきっとバレてて
きみには全てお見通しなんだろう
反対に僕からじゃきみの本音も温度もわからなくて
僕の言葉はきみに響いているのか自信がないけど
きみがこの距離で僕のそばに居てるくれることが答えで
やっぱり心地よくて
今日もきみのそばで眠りにつく
2024-12-01
【泣かないで】
涙でに濁る前に
きみからの言葉を思い出して
きみの言葉にまだ気がつけていない部分があるから
きみをまだ知りきれていないから
涙が出てきてしまうのだから
泣かないで
きみの言葉に耳を傾けて
2024-11-30