【冬のはじまり】
最初にまず香りがきて
冷んやりとした手が差し伸べられて
足並みがきみの歩幅に揃っていく
肌寒さを感じたらもうすぐそこに
一面の銀世界と万点の星空が
僕を待ってくれてる
2024-11-30
【終わらせないで】
今まで死なないでいたのはこの為だったのかと思う瞬間
なにも映せなかったこの瞳が
光を宿したのが嫌でも解る
今この瞬間を逃して過去にしてしまえば
この先何も残っていないのではないかと
勘繰ってしまうような高揚感
過ぎゆく時を止めるために息を呑む
それなのに残酷にも目の前のきみが生きろと叫ぶから
留めていた時が吐き出されて歓声に変わる
どうか僕がきみを捉えられているこの時間を
終わらせないで
2024-11-29
【愛情】
想うだけで世界が色を変えるような
刻一刻と止まっていく心臓を
見返りなしに捧げられるような
固く閉ざしていた内側を曝け出せる存在で
ただきみの存在を願うばかり
どんなに苦しい思いをしても
そばを離れたくない
そんな感情
きみからゆっくり時間をかけて教えてもらったもの
2024-11-27
【微熱】
溢れた吐息で
退屈な日々を飾り付けて
あわよくば今この瞬間だけは
僕ときみの2人だけの世界で
だれよりもきみに近い人でありたい
どれだけ時間が経っても変わらない
この甘い熱の行き先だけを考えて
今日も浮かれた熱と共に吐き出す言葉をきみに贈る
2024-11-26
【太陽の下で】
うちに”ネギ”と呼んでいるサボテンがおりまして
お店で一目惚れしてお迎えした時から
ずっとこう、お辞儀をするように斜めを向いておりまして
確かにその”ネギ”の頭の正面に太陽の光が来るように
窓の方を向かせていたんですよね
試しにくるりと反対を向かせて
何日か置いておいたんですけども
驚くことに姿勢がピーンと正されていたんですよ
うちの中にある蛍光灯の光には目もくれず
本物の光を選別する能力を持っていて
太陽の下で生きるべき生き物は自然と
太陽の方向に背を伸ばしているんだなと
しみじみと思ったのです
2024-11-25