【命が燃え尽きるまで】
既に前から後ろから押し潰されて
ぺちゃんこになった僕に
命を感じる人の方が少ないのではないかと思うほど
僕自身で鏡を見ても気づけるのに誰も彼も知らん顔
この姿に慣れてしまい元の姿もわからないのに
その声は僕を見つけてくれて
僕の輪郭を探し方も教えてくれた
もう指を咥えて見てるだけじゃ
きみと対等に居られないから
創っていないと壊れる身体になってしまっても
命が燃え尽きるきみと共に
2024-09-14
【夜明け前】
瞼はとても眠たがっているのに
頭の中は冴え切っていて眠りを拒む
大人が隠したカーテンの隙間から覗き見た夜が
広大で優しいなんて知らなかった
静まり返った街を街灯が照らして
きっとこんな景色は僕しか知らないんだ
空に浮かんだ宝石を集めて
自分の影と隠れんぼをして
世界で”1人”を満喫したのも束の間に
白んでいく空がユメのような夜の終わりを告げる
明日もまたここで遊ぼうね
そう言ってやっと僕は瞼を閉じた
2024-09-13
【本気の恋】
高い分厚い壁を四方に囲んで
聞こえる大きな声を遮断した
そこは真っ暗だったけど
作られた白い部屋よりよっぽど良かった
誰も居ないし何も見えないことで
やっと一息つくことができた
僕の小さな手ではやはり欠陥があったのか
ポロポロと崩れ出した壁の隙間から
作られた光と共に怒鳴り声が乗り込んでくる
ああ、また無にならなければならないのか
いや、暗闇に閉じこもった期間に
何かしたわけではないのだが
棘のある音に触れない様に
棘の凹みに届く様に言葉を選んで息を殺す
全て諦めて暗闇から出ようとすると
耳を塞ぐ聞いたことのない音
それがきみとの出会いだった
外に出た後も見向きもしない僕に
優しく強く語りかける音
それは僕が探してきた言葉とホンモノの偶像
きみに心臓を掴まれて
きみの声に合わせて心音が鳴るようにされてから
僕はきみしか見えない身体になってしまった
2024-09-12
【カレンダー】
日を捲っては捨ててそんな毎日を続けて
ふと僕が居なくても世界が回ることに気がついて
なんだか呼吸も楽になる感覚がしてしまって
僕の元を離れていってしまう日も
いつか来てしまうのだろう
それでもいいから
きみの酸素をもらってるのも理解してるから
きみの歌声が届く世界の端に居させてほしい
2024-09-11
【喪失感】
固く閉じていた目を開く
窓の外はとっくにあさを迎えて
容赦なく僕に現実を突きつける
それから逃れる様に寝返りを打って
ユメで出会えたきみとの記憶を反芻する
最後にきみに触れられたような気がするのに
その感覚もぼやけてユメの境界線と共にふやけていく
確かにきみの手の温度が感じられたはずなのに
エアコンで冷えたシーツに取られていく
少しばかりユメの中へ戻れないか
身を捩って抗っていたが
今日もきみはユメの中へ消えていってしまった
2024-09-10