【本気の恋】
高い分厚い壁を四方に囲んで
聞こえる大きな声を遮断した
そこは真っ暗だったけど
作られた白い部屋よりよっぽど良かった
誰も居ないし何も見えないことで
やっと一息つくことができた
僕の小さな手ではやはり欠陥があったのか
ポロポロと崩れ出した壁の隙間から
作られた光と共に怒鳴り声が乗り込んでくる
ああ、また無にならなければならないのか
いや、暗闇に閉じこもった期間に
何かしたわけではないのだが
棘のある音に触れない様に
棘の凹みに届く様に言葉を選んで息を殺す
全て諦めて暗闇から出ようとすると
耳を塞ぐ聞いたことのない音
それがきみとの出会いだった
外に出た後も見向きもしない僕に
優しく強く語りかける音
それは僕が探してきた言葉とホンモノの偶像
きみに心臓を掴まれて
きみの声に合わせて心音が鳴るようにされてから
僕はきみしか見えない身体になってしまった
2024-09-12
9/12/2024, 2:27:52 PM