【世界に一つだけ】
白黒の鍵盤を走る指で
星々を繋いで星座を作れば
きみの為だけの世界に一つだけの音が生まれる
2024-09-09
【胸の鼓動】
自分の身体を流れる音に身を委ねて
今まで許せなかったこびりついた毒さえも
洗い出すように流れゆく
そうやって身体を巡り巡って心臓に戻って
やっぱりきみが好きだと答えを返す
2024-09-08
【踊るように】
イヤホンで耳塞いで
跳ねた音の粒を辿る
誰にどんな目で見られても
世界を素敵に渡る方法
2024-09-07
【時を告げる】
日の当たらないように守られた一角
中で流れている大切な空間を壊さない様に
慎重に扉を開ける
待ち侘びていた様に僕よりも先に光が差し込んで
開いたことで舞ったほこりを照らして
まるで宇宙空間のようで目を奪うが
最小限の光だけで済む様に扉を調整する
そこまでしてやっと本来の目的と対峙する
手のひらサイズの時計塔を持ち上げて
あの時の記憶を手繰り寄せる様に
触れなかった期間を取り戻す様に
ゆっくりと側面のネジをくるくると回す
手を離して紡がれたメロディは
あの時と少しも変わらぬまま
身体を伝って胸に届くと
僕の成長を教えてくれる
2024-09-06
【貝殻】
現実が押し寄せる波の狭間で
大事な世界とを区切る様に
境界ギリギリで濡れない様に
きみと歩いた
--少し進んで
ちくちくする白い床に腰をかけると
歪な形をした筒が目の前に散らばっていた
きみはそれを掬い上げて耳に当てると
僕の音が聞こえるって綺麗な笑顔で笑うから
僕も真似をしてそれを耳に当ててみる
しばらく待っても何の音も拾えなかったと
不満を漏らすと
これから好きな音を見つければいいよって優しく笑う
聞こえなかった疑問で頭を埋め尽くされて
僕にはその意味も気がつけなかった
きみから差し出された手を取って
また現実の波の狭間で輪郭をなぞる旅に戻ったのだった
2024-09-05