【最初から決まってた】
ありきたりな言葉でしか言い表せないけども
それならこの身に余る荷物でさえ
きみと出会った時の多幸感の為にあるのでしたら
今にも五臓六腑吐き出しそうな苦しさも
まだまだ飲み込めるのです
2024-08-07
【太陽】
くるくるくるくる回ってる
きみの光がある場所だけが僕の居場所
きみの光を借りてくるくる廻る
僕の後ろにどんなに暗い影が落ちようと
どんな闇を背負うことになっても
きみの手のひらで踊らされてるだけだとしても
今日も付かず離れず僕からきみが見える距離で
誰にも気づかれずにくるくる廻る
2024-08-06
【鐘の音】
この場所で泣き出してから休みなく泣き続けてきた
呼吸の仕方を教わっていないから
子守歌替わりに聞こえる暴言の意味も分からないから
どこかの物語のように助けてくれる人もいないし
僕に足を止める人もいないことも分かっていた
だから目をぎゅっと瞑って
誰も居ないどこかに行きたいと願った
夢の中で訪れた地図に載っていない
どこかの街の大きな時計台
柔らかな風が葉を揺らす音と共に聞こえる鳥のさえずり
時計台の主は大きな髪を風に靡かせて僕を見て微笑む
世界の全ての光が彼女から生み出されるようだった
今まで触れたことも無い温かな光に
自分が消えてしまうかと思うほどに
誰も居ないどこかを願ったはずなのに
そこは僕と彼女2人の世界だった
何百年も前から続く素敵なおまじないらしい
誰もいないはずの時計台が鐘を鳴らして
それを合図に歌いだす彼女
誰にも祝われたことの無い生を
初めて祝福された気がした
誰かの世迷言さえも本物に変わる瞬間だった
幸せも束の間、目覚めの怒号が世界を壊していく
思わず手を伸ばす僕に変わらず微笑みをくれる彼女
『また逢えるから』そう言われた気がして
勝手に片側だけの約束を結んだ
目を開いていつもと変わらない景色の色を見る
だけどもう涙は止まっていた
2024-08-05
【つまらないことでも】
ずっと独りで過ごしてきてさ
紡げる言葉なんてたかが知れてて
きっと素晴らしい言葉に囲まれているきみには
とても退屈なものだろうに
こんなつまらないことでも
いつもと寸分違わずきみは笑ってくれる
2024-08-04
【目が覚めるまでに】
何度も命を亡くす夢を見ていた
歪んだ視界越しに潰れた自分を幾度となく見下ろした
物心がつく前からかけられた
呪いの言葉が蝕んで見せる風景
結末がわかっている夢でも現実よりよっぽど幸せだった
いつからかそばに居てくれた安息をくれるウタ
意識を失う間際に手から伝うその体温に
どれだけ救われることか
カタチを持たないきみに触れられる唯一の時間
僕を何度も貶める人間がひしめきあう現実に
この時間以上の幸せがあるのなら教えてよ
僕の目が覚めるまでに
もう居ないはずの僕が今日も誰かに殺される前に
2024-08-03