ミロワール

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7/31/2024, 1:57:30 PM

【だから、一人でいたい】

言葉にしなければ

誰かと出会わなければ

その内包した感情を知らずに済んだのに

震えた空気の振動で相手の中身が伝わってしまう

こんなにも簡単なことなのに

みんな素知らぬ顔をして毒を吐く

これが見えるのは

これを吸い込んでしまうのは

僕だけなのだろうか

僕も相手に毒を吐きかけてしまっているのだろうか

それならいっそ誰にも会わなければ良いのだ

何と最適な答えなのだろう

僕は深い深い海の底

ヒカリさえ届かない場所に自分を隠した

もう誰にも会わないように



何年の月日が経ったころか

どこか遠くで物音がする

僕を知るものはもう居ないはず

偶々、偶然迷い込んでしまったのだろう

だけどここは深い深い海の底

果たしてあの場所に帰れるのだろうか

ほんの少しの興味が

固く閉ざした扉の向こうに漏れ出てしまった

だからバレてしまったんだ

見つけた少女は目が合うと首をかしげて歌い始める

僕が隠してた僕のことを

まるで鏡に映したように



我に返って咄嗟に耳を隠した

僕の知らないような僕を歌うあの少女の

本当の音を知ってしまいたくなかった

そんな心配をよそに歌は続く

否が応でも聞こえてしまう届いてしまう

それなのにウソが1つも混ざっていない

なんて綺麗な音色なんだろう

僕は初めてきみの姿を捉えた

初めて自分の足で立ったような感覚がした

今までうまく息が吸えていなかったのにも気が付いてしまった

それくらいもう限界だったのだ

人に寄りかかることの罪がどれだけ重いか

潰される側の気持ちは身に余るほど知っているというのに

本当の言葉しか紡がないその歌声に頼って息を吸う

こんなにも相手の首を絞める事があるのだろうか

だから、一人でいたい。

あの時にその覚悟で閉じこもったのに

ああ、どうか歌っている間だけは

僕のそばに居て欲しいなんて



最低だ




2024-07-31

7/30/2024, 2:39:03 PM

【澄んだ瞳】

吸って吐いて淀んだ空気

他人の重りでがんじがらめに固められて

これまた誰かの濁った海に放られた

呼吸の仕方も誰からも教わっていないから

受け入れてただユメを見た



僕と同じように放られた瓦礫にぶつかって傷が出来る

同じところばかりが抉られて

多分大事にすべきところも当たり前の様に

露出されてまた傷が付く

その痛みさえ知らずに漂っていた

それほどになにも持っていなかった



今日も誰かが汚い言葉を吐き出した

その影が向かって言った

ガラクタの何かは

こんな海の中で隠せないほどの澄んだ瞳を持っていた



2024-07-30

7/29/2024, 2:13:31 PM

【嵐が来ようとも】

突然の雨に降られて世界は色を変えた

去っていく足音が小走りに跳ねる

雨音でダンスのお誘いしてくる見知らぬ雨傘

空が光って屋外ダンスフロアの出来上がり

地面に映る宇宙をステージに小躍りしても誰も知らない

嵐が来ようとも僕を見つけるのはきみしかいないから



2024-07-29

7/28/2024, 1:26:38 PM

【お祭り】

電柱の間にぶら下がって揺れる灯り

道いっぱいに広がってひしめき合う喧噪

漂う食べ物の香りと視界に広がるカラフル

なんとか潜り抜けた先に広がる広場で

一番の人だかりができていた

隙間に潜り込んで円の中心にいる歌姫を仰ぎ見る

今世界のどの場所よりも熱く幸せがあると

自信をもって言えるほど

パソコンを付けるだけ

年中無休で遊びに行けるお祭り会場



2024-07-28

7/27/2024, 2:39:03 PM

【神様が舞い降りてきて、こう言った。】

追いやられた狭い場所で

外の人に悟られないように息を殺して

暗闇に紛れるように縮こまって
 
今日と昨日の境目に座り込んで

日が進まないのをなんとか食い止めようとしていた

このままじゃ自分が壊れてしまうのが

何処かでわかったから

 

ポケットの中で温めた僕の本当の世界で

誰にも知られずに日々に首を締め付けられていく

いつかどこかで明日に置いてかれて今日の境目から

転がり落ちてしまってもいいと思った



言わずに飲み込んだ言葉で辺りを黒く塗りつぶして

僕がカミサマになって現実とおんなじ暗闇を創り出した

だからきみの歌声が聞こえたのは

僕が創った方だと信じて疑わなかった

白昼夢を見ているようだった

突然現れたそれは夢現な僕が見えていないように

気に留めず自分でもよく知らない感情を人間を歌う

黒く塗りつぶした言葉が

その役割を全うしたように明るく光を纏って消え

透明が全てを攫ってその世界は姿を見違えた

その様はそう、神様が舞い降りたようだった。



その神様も僕が居ないと存在を確定できないのだと

僕と同じなのだと疑い続ける僕を他所に0を歌い続ける

お互いに消えちゃわないように呼吸を分け合ってと

それ以上もそれ以下も無くただ僕に語りかける

初めて綺麗な本物も見つけた感動の衝動に

どうしても抗えなくって1枚の壁越しに手を合わせ

その瞬間初めて自分を見つけたような感覚が走った

僕らは何も持たない同士で寄りかかってやっと1になった



2024-07-27

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