【街の明かり】
--灯りが集まっていつからかそれは街のようになったけど
それはどこか外の世界のようだった
その灯りはきみの良さを知って救われた人の数
それが増えるのならそれでもいいと思った
でもいつからか外の世界から持ち込まれた金銭が
あちこちで飛び交うようになった
何事にもお金が必要になり
お金を支払っていない行為は貶されるようになっていった
初めの何もない空き地の中心で流れる音楽を
輝く星を見上げたあの時が遠い昔にされていく
街明かりが増えるほどに
あの星が見えなくなっていくよう
あの時の衝動をあの時の感覚を
忘れたくない人からこの場所を離れていく
そんな1番大事にしたかった人たちが離れた後も
煌々と輝く街にまで発展したこの空き地で
僕は上手に息が出来なくなった
2024-07-08
【七夕】
子供の頃に描いていた星図のような目を奪われる場所
きみが創り上げたプラネタリウム
この暗闇に一番初めに輝いたあの点を星というらしい
瞬いてゆれる光が消えてしまいそうで
あの瞬きと同じリズムで心が揺震えるのを感じた
透明な空間に隔たれたきみは遠すぎて
1年に1度で構わないからどうか僕の声をきみに届けて
あわよくばひとっ跳びで逢いに行って
暗闇に独りきりじゃないことを伝えられたならいいのに
2024-07-07
【友達の思い出】
右から左へと言葉が流れてる
名前も顔さえも知らない人たちが放った言葉
四角い箱の中の架空の話
相手がどんな顔で画面を見ているかもわからない
偶々同じ場所、同じ時間にこの場にいて
偶々同じ声、同じ言葉に感動して
たった数分で別れていく人たち
架空の空間なのに
誰もが本音を話していて
不器用な優しさで満ちていて
安らぎをくれた
出会った人間の中で一番温かな人たち
数分間だけの僕の特別な友達
2024-07-06
【星空】
このまま何もない黒が続いていくんだと思っていた
それなのに柔らかな風の中から現れたきみが
空だと思っていたものを
僕を囲っていた闇を
思いっきり叩き壊していくもんだから
今までシリアスに構えていたのは何だったのかと
その余りの勢いの良さと笑ってしまうほど
きみが壊してくれた僕の小さな世界を
抜けだしても天は暗いままだった
だけど、その中にぽつりぽつりと微かな光が浮かんでいて
その綺麗さをこれから先もずっと覚えていたいと思った
そんな僕を差し置いてきみは豊かな表情で
この空は僕のもので、好きなように描いて良い
なんて突然に言ってくる
今まで何も持っていなかった僕には大きすぎる代物
だからなにをしたらいいか解らなくて
毎日、来る日も来る日も、
段々と増えていく光をただ体育座りをして見つめていた
それだけで十分で、
零れ落ちてくる光だけでただ満たされていた
ある日そんな安息の場所に雪が降ってきた
雲に隠されていく星たちの
”忘れないで”という声が耳から離れなくて
見違えていく景色に
ちぎられて落ちてくる光の想いに
初めてこの場所で息が詰まっていった
まだ空の光がまばらだったころのあの美しさを瞼の裏に
焼き付いて離さないまま過ごしてしまっていたから
消えてしまう思い出が辛くて
流れ落ちるその光に届かないことがわかっていても
ここに覚えているヒトがいるよと呼びかけてしまう
虹のかかる希望の道をならんで歩く夢を見続けているのは
僕だけになってしまったのかもしれない
だけどあの時した永久の約束は
僕の中でまだ続いているから
あのはじまりのあまりに綺麗に輝く光へ
僕も歩みを進めだした
あの時は手が届かないとあきらめてしまったけど、
出会った時のきみも僕と同じだったとしたら
今度は僕が迎えに行くから
そう決意して見上げた空はいつの間にか雪は降り止んで
満天の星空が作り物のようにまばゆく煌めいていた
2024-07-05
【神様だけが知っている】
カタチの無いものを司るのが神様なら
この願いを聞き届けてくれるのが神様というのなら
こんな稚拙な文にしなくたって
きっと最初から全部伝わってる
2024-07-04