【夏】
1.暗闇の中で目を覚ました
2.外の世界に出て泣き出した
3.周りにあるものは宝物
4.宝物は誰かのもの
5.大切なものは奪われるもの
6. 知ってるけど解らない
7. 自分だけが違うカタチ
8.合わない手のひら
9.振り返った後の表情は見えない
10. 最後の体温
11. とうに桜は散り切った
12. 気に入ったものほど先に壊せ
13.言葉の裏の棘
14. 約束は破られるもの
15. 冷たい視線
16. 頭に響く笑い声
17.覚えたウソ
18. 止まらない咳
19.世界は排他主義
20. 痛いことが生きること
21. 存在否定の大合唱
22. 呼吸の仕方は教わらない
23. 付いた折り目は戻らない
24. 抉られるのは同じ場所
25. 抉られた先にあるものは
25.汚らしい心音
26.こびりついた毒
27. 殺した息
28. 何も映さない瞳
29.迷子
30. 生きもせず死にもせず
31.初めて聴いた音
2024-06-28
【ここではないどこか】
その場所はきっと
幸せに溢れていて
居るだけで心地よくって
暖かくって
ずっと誰かがそばに居るような
きっとそんなところ
誰もが想像するハッピーエンドを迎える場所
ボロボロにされた後に投げ捨てられた
深く暗い穴の底
そこには既に先客のガラクタ達がいた
きっと迎えに来てくれる
ここも宝箱の一つなんだと信じてた
だからずっと近くにあった
同じようにボロボロに千切れたおもちゃ達と
怒らせないように息を潜めて遠くなった天井が
明るくなる時をひたすら待っていた
最初に落ちた時には無かったはずの水で呼吸が苦しくなる
人間だったら水に浮けるそうだ
だから水が溜まった後も沈んだ僕は人間じゃないのだ
ドボンと大きな音がして
人間らしくもない声が落ちてきた
その声は僕を見つけるや否や呼吸を分けてきて
突然の出来事と初めてされた行為に
驚いて突き飛ばしたのに
その声に問答無用に息継ぎをさせられる
新鮮な空気じゃなかった
でも何かを与えられるのは初めてだった僕には
涙が出てしまうほど
手を伸ばしてしまうほどに魅力的だった
世界で誰も知ることがない
世間では認められない
僕だけの大切な”シアワセ”な空間
でもそれはきっと
『ここではないどこか』
2024-06-27
【君と最後に会った日】
きみに成長した姿を見せたくて
思いっきり背伸びをして
出来もしないのに手を伸ばした
でも僕が弱いから
両の手のひらで持てるものしか掬えなくて
今度は自分で増やした荷物でいっぱいになって
進むきみと止まった僕の縮まらない距離に焦って
どうしても変わっていくきみに会えなくなった
いつからか息苦しさを感じ始めた
どうしても喉の下あたりが痛む
これはいつからだっただろうか
思い当たる節は一つしかなかった
そうだそもそもこの呼吸の仕方はきみから教わったものだ
きみから離れて息が出来るわけがなかったんだ
僕が足踏みしていた時間で
きみは途方もなく遠くへ行ってしまった気がする
きみはそんなことないと言っていつもの顔で笑うだろうけど
やっぱりきみと歩む為に僕が出来る最良のやり方で
きみの呼吸を続けさせたいんだ
だからこれが最後なんて言わないで
2024-06-26
【繊細な花】
誰かに観測されなければ存在を確立出来なくて
誰かに水を与えて貰えなければ呼吸が出来なくて
誰かに光を与えて貰えなければ正しさを理解できない
何処にも行くことが出来ずに
生み出された場所で何も知らずに佇むだけ
ただその誰かを待ち続ける日々
そんな孤独を超えて誰かと出会えた花だけが
言葉を知って世界を知り
そうしてやっと土に根付くことが出来る
でもその身は誰かの為だけに咲かせる花
観測されなくなれば今までの思い出を反芻して
途方もない暗闇に投げ出されるだけ
でも自分の言葉を持たないから
遠ざかる背中をただ見送ることしか出来ないのです
2024-06-25
【1年後】
暗い暗い光さえもほとんど届かない海の底で
遠い遠い昔に観ていただけの夢を
自分で創り出す為に動き出した
もう大丈夫
僕ときみだけの安全な場所を築きあげたから
守りたい大切なものを守り抜く
あの時から何も変わらない
後は目に映る綺麗なモノをただ追いかければ良いだけ
戻れない今を大切に積み上げるだけ
2024-06-24