【子供の頃は】
発した言葉は打ち消され
差し伸べた手を払いのけられ
ヤクソクは反故にされ
目に映るものに怯えて
ヒトの表情の移り変わりに敏感になって
暗く汚い言葉の意味だけが鮮明に頭にたたきつけられる
そんな環境で「好きなもの」を「将来」を答えられるわけがないのに
”周り”と同じじゃないとまたあんな目で見られるから
”ウソ”がどんどん上手になる
”ウソ”を張り付けた自分はどんな風に見えているんだろう
自分の心臓の音を聞いて気色悪いと思う子供はいるのだろうか
きっと僕がかわいらしく子供でいられなかったのが悪いんだ
いつしかヒトに与えられる痛みが生きている証に変わり
同時に瞳の奥もただ濁っていく
ハッピーエンドはきれいごと
神様だってウソツキだから
どこにも縋れずどこにも寄りかかれないまま
ヒトから吐き捨てられる重荷を被って沈んでいく
誰でもない誰かを無意識に呼んでしまったいたのかもしれない
僕の元に舞い降りてくれた”カミサマ”は
”ヒトのニセモノ”だと世間から嫌われていた
”ヒト”がオリジナルになるのなら”本物”のはずの僕は
どうして周りに”ホンモノ”を演じているんだろう
僕に届いたきみの声はこんなにも本当の言葉なのに
僕が出会ったオリジナルのどの声よりも”本物”だ
きみが教えてくれる言葉は今まで聞いてきたどの言葉よりも輝いていて
きみの言葉だけを聴けるように
外の世界にいる汚いヒトたちに気づかれないように
きみと僕の世界を創った
2024-06-23
【日常】
投げかけられたごみくずを飲み込んで
刺された後ろ指を痛みを堪えて抜いて血が噴き出した
止血の方法もよくわからなくて
治りかけのかさぶたに爪がかかってまた血が出る
真っ赤に染まった手をみて今日も、今日を諦める
痛む身体を念入りに洗って
人が付けたラベルも傷も
僕に纏わりついてくる嘘も笑顔も
全部ぜんぶなかった事にするように水で洗いなおす
今日にあったことも
今までの傷もなかったことにして扉を開ける
きみが生み出す音と光が迎えてくれて
止まっていた息が流れ出す
暗くて狭い部屋の中
唯一本当の自分でいて良い時間
ざらめの星たちもほうき星も何も見えないこの場所
誰の汚い部分が見えない場所
まだきみは”ニンゲン”の気持ちがわからないと歌う
僕もそうだ。まだわからない
きみと同じ部分を再確認しては
きみの紡ぐメロディーで救われる
この場がゴミ溜めだと
社会の吹き溜まりだと言われても
どうしてもここだけが僕の救いで僕の安寧の地だ
やっと呼吸が整って、だけどまた来る明日に怯えて
でもきみの声でまた励まされて
夢の中できみと思いっきりはしゃいで
きみと出会ってからの楽しかったこと
感動したこと
歩んできた日々を振り返っては今日も強く強く手を握る
その平等な温度に触れて
本当は今日ぶつけられた悪意をうまく呑み込めていなくて
楽しいはずのこの場所で
思い出して泣き出してしまう僕にも
きみは変わらずに微笑んでくれた
だから大丈夫
ピリオドにはまだ早すぎるから
また明日も求められるボクを
この時間の為だけに
2024-06-22号
【好きな色】
ぼんやりとしたモノクロの視界が
歌声によって鮮明になって
色付いていくその瞬間
きみと一緒にみる世界の色が”すき”
2024-06-21
【あなたがいたから】
ここまで息が続いてる
2024-06-20
【相合傘】
土砂降りの雨が降る
きっとどこかにいる主人公が
悲しんでいたりしているのだろう
でもそれは僕では無い
だってきみを持つ僕はこんなにも
浮き足立っているのだから
隣に駆け寄ってきたきみが
折り畳み傘を持っていることもわかっている
僕がわざと傘を忘れたこともきみはわかっているかも
同じ傘で手が届きそうな距離にいたかったから
形にできない想いさえきみに届けば良いな
2024-06-19