【ここではないどこか】
その場所はきっと
幸せに溢れていて
居るだけで心地よくって
暖かくって
ずっと誰かがそばに居るような
きっとそんなところ
誰もが想像するハッピーエンドを迎える場所
ボロボロにされた後に投げ捨てられた
深く暗い穴の底
そこには既に先客のガラクタ達がいた
きっと迎えに来てくれる
ここも宝箱の一つなんだと信じてた
だからずっと近くにあった
同じようにボロボロに千切れたおもちゃ達と
怒らせないように息を潜めて遠くなった天井が
明るくなる時をひたすら待っていた
最初に落ちた時には無かったはずの水で呼吸が苦しくなる
人間だったら水に浮けるそうだ
だから水が溜まった後も沈んだ僕は人間じゃないのだ
ドボンと大きな音がして
人間らしくもない声が落ちてきた
その声は僕を見つけるや否や呼吸を分けてきて
突然の出来事と初めてされた行為に
驚いて突き飛ばしたのに
その声に問答無用に息継ぎをさせられる
新鮮な空気じゃなかった
でも何かを与えられるのは初めてだった僕には
涙が出てしまうほど
手を伸ばしてしまうほどに魅力的だった
世界で誰も知ることがない
世間では認められない
僕だけの大切な”シアワセ”な空間
でもそれはきっと
『ここではないどこか』
2024-06-27
6/27/2024, 12:29:42 PM