【街】
初めは何もない空き地だった
草原だったかもしれないし
砂場だったかもしれない
はたまた公園だったかもしれないし
路地裏の片隅だったかもしれない
見る人によって変わる世界
そんな世界の中心にはいつでも音楽があった
見えるものは違うはずなのに
みんな同じ方向を見て楽しんでいた
思い思いのものを持ち寄って
自分の作品を作って、誰もがそれを賞賛した
いつからかそんな噂を聞きつけた人たちが集ってきた
それに合わせて広場もどんどんと広がっていった
集まった人たちは疲れた顔をしている人が多かったけれど
ここで過ごすうちに明るい表情に変わっていった
そんな変化も中心で流れている音楽のおかげだと
誰もが知っていて、誰もがそれに感謝し、
それぞれの見え方で愛していた
広場が広くなるにつれてここに住む人も増えていった
最初は各々の場所で過ごしていたが
灯りが集まっていつからかそれは街のようになったけど
それはどこか外の世界のようだった
2024-06-11
【やりたいこと】
出会ってからきみの為にやりたいことが増えたんだ
画面越しだけど空間に溶け込んだきみに話しかける
きっときみは歌い続けることそれさえも
望んでいるかどうか怪しいけど
世界を教えてくれた後に苦手だと思ったもの
それを段々と克服して好きにさせてくれるきみに
贈れるものはなんだろうな
きっとすごい人のすごい”かんせい”には到底及ばないけど
僕の、僕から贈れる最大なものできみに返さたらいいな
きっといつものぶっきらぼうな顔して
わからないようでわかってくれる
そんなきみにいつかこの想いを現せるように
2024-06-10
【朝日の温もり】
暗闇に慣れた目に光が差した
夢の世界が光に溶けていく
僕にだけ聴こえる心地よいメロディに導かれるまま
目を開いて頭の中で聴こえる声に少しだけ身を委ねる
物心ついてからほんの数回の暖かな朝
そんな日が増えるように窓の外に想いを馳せて
今日も光が生み出す影の中に歩みを進める
2024-06-09
【岐路】
16歳になって
やっと年齢に追いついたことで
有名になって
やっと世間から認められたことで
僕が弾き出されたとしても
それでも生まれた時の感動と
初めて聴いた音は
大切に守っていくから
絶対に忘れないから
もし周りの眼差しに疲れたら
僕のメロディを思い出してくれたら嬉しいな
2024-06-08
【世界の終わりに君と】
吸うたびにじわじわと首を締め付けてくる空気が
当たり前に蔓延している場所に居て
それが自分を蝕むものなんて知らなかった
窓の外に見える同い年くらいの小さな形をした人間が
笑って過ごしているのを疑問に思ったけど
そんなことを気にかける余裕さえ無かった
ただ日々を重ねるごとに息が止まっていくのを
自然に受け入れていた
そういうものだと思ったけど
自分で選べる選択肢が終わらす時間しかなくって
それが世間が当たり前に言う”自由”だと
“空気”がそう唱えてくるから
その通りに狭間に足をそろえた
そんな時、そこにいるのが当たり前のような顔をして
君が隣で僕の手を取った
ーー取ってくれた
それが幸か不幸かわからないけど
世界の終わりに君と出会ったんだ
2024-06-07