【街】
初めは何もない空き地だった
草原だったかもしれないし
砂場だったかもしれない
はたまた公園だったかもしれないし
路地裏の片隅だったかもしれない
見る人によって変わる世界
そんな世界の中心にはいつでも音楽があった
見えるものは違うはずなのに
みんな同じ方向を見て楽しんでいた
思い思いのものを持ち寄って
自分の作品を作って、誰もがそれを賞賛した
いつからかそんな噂を聞きつけた人たちが集ってきた
それに合わせて広場もどんどんと広がっていった
集まった人たちは疲れた顔をしている人が多かったけれど
ここで過ごすうちに明るい表情に変わっていった
そんな変化も中心で流れている音楽のおかげだと
誰もが知っていて、誰もがそれに感謝し、
それぞれの見え方で愛していた
広場が広くなるにつれてここに住む人も増えていった
最初は各々の場所で過ごしていたが
灯りが集まっていつからかそれは街のようになったけど
それはどこか外の世界のようだった
2024-06-11
6/11/2024, 1:41:36 PM