【239,お題:特別な存在】
「私にも、なれたらいいのに。」
【238,お題:バカみたい】
バっカみたい」
好きな人がいた、その人の好きな人は私じゃなかった
どうしても彼のことがほしかった
彼の一番の理解者になりたいし、私のことを一番理解しているのは彼であってほしい
彼の隣に居るのは絶対に私がいいし、私の隣だって彼じゃないと嫌だ
彼を手に入れたくて、あらゆる手段を試した
お化粧だって上手に出来るようになったし、お裁縫も料理も勉強も頑張った
お金も彼のためだけに使った、毎日少しでも可愛く思ってもらえるように努力して
ちょっぴり卑怯な方法にも手を染めた
でもあなたが目で追うのは、私ではなかった
悔しくて恨めしくて妬ましくて、お前なんて消えてしまえばいいと思った
そしたらきっと、私が彼の一番なのに
「ごめん俺、やっぱり女の子と付き合うの無理」
お前さえ居なければきっと...
「えっ、なん...で?」
私が...
「...俺、男が好きなんだと思う」
...私は絶対、あなたの一番にはなれない。
一緒に歩いてきた道を帰りは一人で歩いた
惨めで悔しくて、心がどうにかなりそうだった
これまでずっと彼以外考えずに過ごしてきたのに、全部彼に捧げたのに...
「私...
【237,お題:二人ぼっち】
ずっと一人でいたんだ、もう時間の感覚とか麻痺するくらいずっと
薄暗い闇は僕の存在を覆い隠してくれて、誰も僕に気付かない
人からの無関心も、傷痕から流れる生命の温かみも
慣れてしまうと心地よいもので、暗闇にぽっかり浮かぶ僕を受け入れるように
沼の底のような陰影はどんどん膨らんで大きくなっていった
いつだったっけ、僕が一人ぼっちではなくなったのは
濁った天井をぶち破るようにして、君は入ってきた
転がり落ちるように僕と同じ高さまで沈んでくると、薄く目を開けて色のない唇でそっと笑った
そして無遠慮に僕を掴み出そうとする手とは全く違う、柔らかい温かさがある手で
君はそっと薄いガラス細工に触れるように僕の手を包んだんだ
久しぶりに触れた人間の体温に驚いて、自分がこんなにも冷たかったことにもう一度驚いた
君は僕を外に引きずり出そうとすることはなかった、話しかけてくることもなくて
ただひたすら、僕のとなりに座って僕と同じようにぼーっと船を漕いでいた
不思議とその空間を鬱陶しいとは思わなかった
一人でいいと思っていたのに
その日から僕たちは二人ぼっちになった。
【236,お題:夢が醒める前に】
あと少しだけ、と思ってしまう。
きっと君も分かっているんだろう?このままではダメだって
分かっていて、なにも知らないような無邪気な顔で笑うんだろう?
ああダメだ、その君の優しい無関心に甘えたくなる
君はきっと、私のどんな醜い部分に気付いても
私が自分から言い出すまで待っていてくれるよね
でもそれではダメなんだ、
もう覚悟を決めなくてはならないんだ私は
...でも、この甘やかな夢から醒める前にもう一度だけ、君に会いたい
君だけには嘘を付いて消えたくない、君には包み隠さずに全てを知っていてほしいんだ。
【235,お題:胸が高鳴る】
君が待っていてくれる、そう思うだけで胸が高鳴る
君と一緒にいれるだけで、こんなにも笑顔でいれる
君がかけてくれた魔法
世界がより美しく見えるのは、きっと君のおかげなんだ