無音

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【238,お題:バカみたい】


 バっカみたい」


好きな人がいた、その人の好きな人は私じゃなかった

どうしても彼のことがほしかった
彼の一番の理解者になりたいし、私のことを一番理解しているのは彼であってほしい
彼の隣に居るのは絶対に私がいいし、私の隣だって彼じゃないと嫌だ

彼を手に入れたくて、あらゆる手段を試した

お化粧だって上手に出来るようになったし、お裁縫も料理も勉強も頑張った
お金も彼のためだけに使った、毎日少しでも可愛く思ってもらえるように努力して
ちょっぴり卑怯な方法にも手を染めた

でもあなたが目で追うのは、私ではなかった

悔しくて恨めしくて妬ましくて、お前なんて消えてしまえばいいと思った
そしたらきっと、私が彼の一番なのに

「ごめん俺、やっぱり女の子と付き合うの無理」

お前さえ居なければきっと...

「えっ、なん...で?」

私が...

「...俺、男が好きなんだと思う」


...私は絶対、あなたの一番にはなれない。


一緒に歩いてきた道を帰りは一人で歩いた
惨めで悔しくて、心がどうにかなりそうだった

これまでずっと彼以外考えずに過ごしてきたのに、全部彼に捧げたのに...

「私...

3/22/2024, 10:53:40 AM