【47,お題:夜明け前】
夜明け前、夜でも朝でもない時間
白み出した星空が、澄んだ明日を連れてくる
「いつまで一緒にいれるかな?」
誰かが空を見上げ、ぽそりと呟いた
その言葉は、白い空のパレットに滲んだ
「いつまでも一緒、だろ?」
それに答える形で、誰かが声を上げる
白いパレットにもう一つの色が加わった
「来世もその次も、こうして一緒にいれたらいいね」
また誰かが、のんびりと呟いた
白いパレットに、3つの色が広がる
夜明けの空は、黄色く弾け 鮮明に赤らみ 青く和らいだ
それは、圧倒される程に美しく 泣きそうな程に儚い輝きだった
まるでこの世のものとは思えないほどの、幻想的な空間も徐々に終わりを迎える
「白斗ー!お前もだぞー!」
「えっ」
急に名前を呼ばれ、危うくカメラを取り落とすところだった
「お前も!ずっと一緒にいようなー!」
弾けるような赤色が、満面の笑みで手を振っている
その横で、にぃっとVサインをする黄色と、腕を組み優しい笑みを浮かべる青色
あぁ...この人たちは、本当に...
「僕も!あなた達とずっと一緒がいいですー!」
心から、世界を楽しんでいる。
赤色は一瞬面食らったような顔をした後、俺もー!と叫びながらこっちに向かってくる
思い切り飛び付かれて水面に倒れ込んだ、ピシャンと軽い音がした
「わっごめん!手加減したつもりなんだけど、怪我してないか?」
「白斗、大丈夫かい?」
「だいじょーぶ?カメラ濡れちゃった?」
ずぶ濡れになりながらも、差し出された手を握って立ち上がる
カメラは多分無事だ、それよりも...
「白斗は細いからなぁー」
「お前がゴリラなだけじゃん」
「否定できないね...」
なんだかおかしくて、ふっと笑いがこぼれる
...今はただただ、この場所が心地いいんだ
【46,お題:本気の恋】
紛れもなく、それは恋だった。
窓の向こうに、凛とたたずむ静かな姿に
初めて自分の心が、トクンと音をたてるのを感じた。
なんて美しいんだろう
珍しいバイオレットの瞳と目があって、その瞬間僕は心に決めた。
「ようこそ!今日からここが君の家だよ!」
キャリーを開けると、おそるおそるといった感じに顔を出した真っ白な犬
その目は、夜空を閉じ込めたような美しいバイオレット
フンフンと音をたてながら部家の匂いをチェックしている白犬
その一挙手一投足全てが、惚れ惚れするほどに美しい
(こんなに綺麗なのに売れ残りなんて...皆見る目がないなぁ)
ふと、手の甲に湿った空気を感じ
下を見ると、さっきまであちこち探検をしていた白犬が、甘えるように手に鼻を押し付けていた
「...僕は君を捨てないよ、絶対幸せにするからね」
そう言い撫でてやると、安心したように彼女は目を細めた
間違いない、僕の人生最初で最後の恋
本気で君を愛せるように
【45,お題:カレンダー】
カレンダー...
よく、おばあちゃん家に日めくりカレンダーありませんでした?
壁に掛けたりできる、ハガキより少し大きいくらいのカレンダー
あれめくるの楽しいですよね、勝手にめくって怒られたなぁw
今はあんまり見かけないけど、どこかで売ってたりするんですかね?
【44,お題:喪失感】
少し湿った匂いのする昼下がり
俺と✕✕✕ は、共に街を歩いていた
「いやぁ、お前来てくれると思わなかったからさぁ」
「この後どーする?映画でも行かね?俺、観たいのがあって...」
ゴロ...ビシャァァッン!!!!
「うおっ!雷!?」
耳をつんざくような雷鳴の後数秒の間をおいて
バケツの水をひっくり返したかのようなどしゃ降りが、物凄い勢いで降りだした
ザバアアアアアアア!!!!!
「やっば...どっか雨宿りしねぇと、行くぞ✕✕✕」
そう言って振り返った
---いない。
「✕✕✕?」
なんで?...俺、アイツと...
バリバリバリバリィィッッ!!!ゴロロロゴロゴロ...
雷の音が、真っ黒の世界に鳴り響いた。
「あれぇ...?おれ、」
全身びしょ濡れなのに、なぜか目元だけやけに熱い
「おれ、アイツと......?」
アイツは、どこに?
アイツは...........
ギキイイイイイイィィィィィッッッッッッッッ!!!!
『光吉っ!』
「あ“...あ“ぁッ」
嘘だ、ウソジャナイ。だってアイツは生きて、ホントウニ?今日も一緒に...
一緒に.........イナカッタ
やけに人の少ない町の中
胸の辺りに、穴が空いたようだった
痛いほどの喪失感に蝕まれたまま
俺はその場から動くことができなかった。
【43,お題:世界に一つだけ】
このお題がでた瞬間、僕の脳内にどちゃクソ大音量で“あの曲”が流れ出しました
世界に一つだけって聞いて、多分ほとんどの人たちが同じものを思い浮かべると思うんですけど
なんか素敵ですよね