【46,お題:本気の恋】
紛れもなく、それは恋だった。
窓の向こうに、凛とたたずむ静かな姿に
初めて自分の心が、トクンと音をたてるのを感じた。
なんて美しいんだろう
珍しいバイオレットの瞳と目があって、その瞬間僕は心に決めた。
「ようこそ!今日からここが君の家だよ!」
キャリーを開けると、おそるおそるといった感じに顔を出した真っ白な犬
その目は、夜空を閉じ込めたような美しいバイオレット
フンフンと音をたてながら部家の匂いをチェックしている白犬
その一挙手一投足全てが、惚れ惚れするほどに美しい
(こんなに綺麗なのに売れ残りなんて...皆見る目がないなぁ)
ふと、手の甲に湿った空気を感じ
下を見ると、さっきまであちこち探検をしていた白犬が、甘えるように手に鼻を押し付けていた
「...僕は君を捨てないよ、絶対幸せにするからね」
そう言い撫でてやると、安心したように彼女は目を細めた
間違いない、僕の人生最初で最後の恋
本気で君を愛せるように
9/12/2023, 10:49:07 AM