灯月

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6/23/2025, 5:33:41 AM

どこにも行かないで

わたしは笑っているけれど
心は揺れている。

言葉を選びすぎて
本当の想いがこぼれ落ちた。

勝ちたかったんじゃない
ただ、わかってほしかっただけ。

あなたの背中が遠ざかるたびに
胸の奥で
何度も叫んだ。

ーーーどこにも行かないで。
ただ、それだけだったのに。

6/21/2025, 5:07:43 AM

好き、嫌い

「好き」と言ったあとで
少しだけ怖くなった

声にした瞬間
その想いがどこかへ逃げてしまいそうで
小さな幸せさえ、こぼれ落ちそうで

あなたと笑う時間が
まるで夢みたいに儚くて
それが「好き」の証だと
どこかで気づいていたのに

「嫌い」なんて言葉は
ほんとはどこにもなくて
ただ、不安と焦りとすれ違いが
心の隙間に忍び込んでくるだけだった

好きだからこそ、怖くなる
好きだからこそ、試したくなる
でも、好きはーー
壊したくて言うものじゃないよね

だから今日も
何も言わずに笑ってる
あなたの隣で

6/20/2025, 12:06:36 AM

雨の香り、涙の跡

午後、窓の外にしずくのリズムが降り始めた。
胸の奥で何かがふと、ほどける音がした。

雨の香りが、忘れていた記憶を連れてくる。
幼い頃、傘もささずに走ったあの道。
声もなく泣いた夜に、そっと寄り添ってくれた冷たい雫。

今日は、もう泣かないと決めたはずなのに
雨にまぎれてこぼれた涙が、頬をすべっていった。

誰かに見せるつもりはなかったのに
ガラス窓に映る私が
あまりにも優しくて、あまりにも脆くて
抱きしめたくなった。

涙の跡をなぞるたび
雨が心を洗ってくれる気がする。
言葉にならない想いも
名前のない痛みも
ただ「今ここにいる」ということだけが
すべてを赦してくれる気がする。

また雨の季節が来る。
きっと私はまた
この香りに救われるのだろう。

そして、また歩き出すのだ。
静かな雨音と
やさしい涙の余韻とともに。

6/19/2025, 6:26:52 AM



張り詰めた空気の中
まっすぐに伸びる一本の糸。

それは運命か、それとも意志か。
切れそうで切れない
でも絡まるたびの胸がざわつく。

誰かの期待、過去の選択
抗えない流れの中で
私はただ、手操り寄せるように進んでいる。

この糸の先にあるものを
まだ知らないままで。

それでも信じたい。
自分の手で、この結び目をほどいていけると。

6/18/2025, 6:03:06 AM

届かないのに

手を伸ばしても
指先が触れない
光は瞬くほど遠く
風に乗せた声も
かすかに消える

波のように寄せては返す
心のざわめき
静かに流れに身を任せても
届かないものは
やさしさで包まれて
なおも胸の奥で輝く

願いは空に溶け
雲を染める
届かないからこそ
歩き続ける
優しい夜明けを信じて

夢は遠く、星のように
きらめいて消えない
届かないのに、届けたい
その想いが
私を動かしている

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