灯月

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7/4/2025, 8:51:00 AM

遠くへ行きたい

まだ知らない風の匂いを
胸いっぱいに吸い込みたくて

名もなき星のきらめきに
昔の記憶がふいに揺れる
あの時 別れたままの声が
そっと わたしを呼んでいる

月は満ちて 静かに照らす
この旅が 間違いじゃないことを

ひとりじゃない
そう感じた夜は
涙さえ あたたかかった

遠くへ行きたい
懐かしさの向こうにある
まだ見ぬ私に 会いに行くために

7/2/2025, 7:52:37 AM

夏の匂い

夕暮れ、風が頬をなでた瞬間
あの人の声が心にふっとよみがえった。

空はまだ少し迷っていて
雲の奥で光がじっと息をひそめている。
それでも私は、信じていた。
約束は、風に消えたりしないって。

胸の奥がざわめいていたのは
陽射しでも、記憶でもない。
きっと、運命の気配だった。

夏の匂いがした。
懐かしくて、少し切なくて
だけど、優しく包まれるような匂い。

私は今日も、静かに待っている。
心の中に、あの日交わした沈黙の言葉を携えて。

7/1/2025, 4:15:02 AM

カーテン

揺れている、薄くてやわらかな境界線。
光と影を分けるその布は
私の心そのものだったかもしれない。

見せたい自分と、隠してきた願い。
静かに風が吹くたびに
その境界線がふわりと揺らぐ。

もうすぐーー
そっと手を伸ばせば
その向こうに新しい空がある気がする。

誰にも見せなかった夢を
そっと、ひとひらの勇気で照らしてみよう。

このカーテンは、隠すためじゃない。
超えていくために、ここにある。

6/30/2025, 6:13:08 AM

青く深く

指先に絡む約束の輪。
未来へと続く道は
鋭い鎌が刈り取るほどに透明な痛みを秘めて。

遠く、十字の影が揺れる。
青い夜の底で
私は静かに自分と向き合う。
深く、深く、
答えのない問いを抱きしめて。

6/29/2025, 5:12:35 AM

夏の気配

風が優しく笑った。
小さな声ではしゃぐ影、裸足で駆ける午後の光。
まだ何も知らない心が、何かを始めたがっている。

偶然のような奇跡が
ふいに差し出された手の温もりに変わる。

約束なんて、言葉じゃなくていい。
目と目が合えば、それだけで世界は開く。

この夏、胸の奥で芽吹くものがある。
それはきっとーー
名前もない、けれど確かな「幸せの予感」。

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