「美しい」
すべてが整い すべてが終わったと思った
けれど その輪のなかに 私はいなかった
祝福の音が遠くに聞こえる日々
肩にのせた理想は 少し重たくて
笑顔の影に 疲れが隠れていた
でもある日 私は気づいた
はじまりは 外にあるのではなく
この足で踏み出す先にしか ないのだと
誰もいない道に 光が差していた
地図のない世界で 風だけが私の味方だった
不安もあった でもそれすら愛おしかった
だって 何も決まっていない今が
こんなにも 自由で こんなにも
美しいのだから
「どうしてこの世界は」
どうしてこの世界は
こんなにも優しくて、苦しいのだろう。
朝の光に目を細めた瞬間
ただそれだけで満たされる心がある。
なのに、ふとした言葉で傷ついて
もう何も信じられなくなる日もある。
小さな手で触れた花に
「きれい」と思えたその気持ちを
いつから私は遠くに置いてきたのだろう。
だけど
胸の奥がふと揺れる時
見えない糸で誰かと繋がっていると感じる。
ああ、きっとこの世界は
わからないことだらけでいい。
それでも大切なのは
いつも静かに、そばにある。
「さあ行こう」
胸の奥、そっと灯る光
静寂の中にある 忘れられた聖域
星々の記憶が 道しるべとなり
いま、心の扉を開く
ゆく先は
はじまりよりも古く
未来よりもやさしい場所
「水たまりに映る空」
ふと足元を見ると、
雨上がりの水たまりに空が映っていた。
手に届くはずがないあの広さが
こんなにも近くにあることに
胸がふるえる。
はじまりは、いつも小さな揺らぎ。
静かに波紋を描きながら
内と外が溶け合っていく。
あの雲の向こうに呼ばれている気がした。
だけど、急がなくていい。
源は、すでにここにある。
ふたつの力がひとつになったとき
私のなかの空もまた、広がりはじめる。
「約束だよ」
忘れてしまいそうなほど、優しい約束だったね。
声に出さなくても、あなたの中でちゃんと芽吹いていた。
気づいた時にはもう、道ははじまっていたんだよ。
見えなかっただけ。
誰かの言葉じゃなく、心の奥でいちばん素直な場所が、そっとうなずいた瞬間を、あなたはまだ覚えている。
だから、信じていて。
疑いそうになったら、静かな時間の中で手をあててごらん。
あのとき交わした目に見えない約束は、ちゃんと、ここにある。
ーーねぇ、大丈夫。
忘れてないよ。
約束だよ。