ノーム

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10/20/2023, 2:25:22 PM

※一応ホラーです。そこまで怖くはないと思いますが、苦手な方はご注意ください。


『始まりはいつも』


皆様、都市伝説とは何かご存知でしょうか?

口裂け女やトイレの花子さん。
きさらぎ駅やくねくね。
最近のトレンドは陰謀論系でしょうね。

このように都市伝説というのは、簡単に言えば怖い噂話の事です。
初めに誰かが言い出した噂話が、多くの人に認知され、そのまま都市伝説として語り継がれる。
何だかロマンがありますよね。

話は変わりますが、実は私も過去に心霊体験をした事があります。
丁度いい機会ですから、お話しますね。
……ね?((^ᵕ^))[圧]

(´ρ`*)コホンッ

あれは私がまだ小学生の頃の話です。

丁度いまと同じぐらいの時節で、彼岸も過ぎて『少し肌寒くなってきたねー』……なんて事を家族で話していた覚えがあります。

当時からお風呂好きだった私は、涼しい日が増えていていくにつれて、お風呂に浸かる時間も長くなっていきました。
肩まで湯船に浸かって目をつむり、上を向いてぼーっとするのが日課でした。

そんなある晩の出来事です。

その日も変わらず、お風呂で湯船に浸かって目をつむり、ぼーっとしていました。
しかし何時もと違い、長風呂をする気にはなりませんでした。

理由は簡単です。
友人から学校で、お風呂に関する怖い話を聞いてしまったからです。
……正直もう覚えていませんが、当時の私はお昼に聞いたその話が頭から離れなかったのです。

そんなこんなで何時もよりも短いですが、そろそろお風呂を出ようかと思い、目を開けようとしたその時。

ひた……ひた……ひた……ひた……

微かに、しかし確実に。
何かの音が聞こえてくるのに気が付きました。
目は閉じていましたが、音が聞こえてくる大体の位置というのは分かります。
自分から見て右後ろ……そう、ちょうどお風呂の扉の辺り。

ひた……ひた……ひた……ひた……

湿った壁に何かを張り付けるような……それこそ『手のひらを貼り付けたら、こんな感じの音が出るのではないか』と、怖い想像をしてしまう気味の悪い音。

(怖い話を聞いてしまったから、今日は少しのことでも敏感になっているのだろう)

そう思い込もうとしても、やはり少し怖いので固まってしまっていると。

……音が場所を移動し始めたのです。

ひた……ひたひた……ひたひたひた……
右後ろから右の壁へ。

ひた……ひたひた……ひたひたひた……
右から前の壁へ。

ひた……ひたひた……ひたひたひた……
そして最後に──

ひた…………
──私のすぐ前で音が止まりました。

目を閉じたまま、恐怖で動くことが出来ません。
それからどのくらい経ったでしょうか? 自分ではとても長い時間、動けずにいた記憶があります。
しかしながら、何時までもこのままではいられません。
音が消えた事を何度も確認してから、恐る恐るゆっくりと目を開いていきました。

すると目の前には……何もありませんでした。
いつもと同じ、見慣れたお風呂の壁があるだけです。

自分は白昼夢でも見ていたのではないかと考えました。
事実、お風呂で睡魔に襲われて、船を漕いでいたことはこれまでにもありましたから。
怖い事を考えていたから、怖い夢をみた。

(なんだ、考えてみれば当たり前の事ではないか)

そうやって自分を安心させていた、その数瞬間後……私は裸なのも構わず全力で風呂場から逃げ出しました。
何なら悲鳴も上げていたかもしれません。

しかし、それも仕方がないと思うのです。
だって一息ついたその瞬間に、耳元でこう囁かれたんですから。

"あえたねぇえ"

……どうしてそんな言葉を言われたのかは分かりません。
少ししゃがれていて、しかしハッキリとした女性の声で、確かにそう言われたのです。

その後は親に何をしているんだと叱られて、先程あった出来事を説明しましたが、ろくに取り合ってはもらえませんでした。
自分がお風呂に入ってからの時間も、たったの15分程度しか経っておらず、まさに"狐につままれたような"感覚です。

これで私の心霊体験はおしまいです。
駄文での長文語り、失礼しました。

信じるか信じないかは、アナタ次第です! (責任丸投げ)


【追伸】

そういえば、当時に友人から聞いた怖い話を少し思い出しました。

確か……そう。
最後にこんな事を言っていた気がします。

『この話を聞いてしまった人は、一週間以内に"ソレ"が会いに来るらしいよ。
……もちろん、お風呂に入っている時にね』

まぁ、どうでもいい情報ですね。

10/20/2023, 2:32:47 AM

『すれ違い』


ネット恋愛が流行っていると聞きました。

ネットでは基本的に、話している時お互いの表情は分かりません。
そしてそれは相手の感情の読み取りづらさに繋がります。
ですからネットでは、リアルよりもより"強い言葉"を使う方が多いのです。

例えば『尊敬』
例えば『大好き』
例えば『愛してる』

ネットでのこれらの言葉は、リアルよりも大きく価値が下がります。
それは当然の帰結であり、悪い事ではないのですが、この事を意識出来ていないままに親密になると、お互いの感情に齟齬が生まれてしまいます。

……簡単に言えば、ネット恋愛は上手くいかない事が多いのです。

『大丈夫?』

ネットでそう言って貰えた時、とても心配そうにしている相手の顔が、思い浮かんではいませんか?

『愛してる!』

ネットでそう言って貰えた時、とても真剣で優しげな相手の顔が、思い浮かんではいませんか?

イメージによって、不足している情報《表情》を補足する。
これがネット恋愛が流行る理由の、主になる部分であるように感じます。

コンパクトでいてカジュアルな恋愛。
けれど相手は理想のパートナー。

はてさて、リアルの相手は……自分と同じくらいの熱量が本当にあるのでしょうか?

9/23/2023, 4:33:20 PM

『ジャングルジム』 175


大して足も早くないのに、あの子は鬼ごっこが強かった。
ほとんど鬼になったことがなくて、それを教室で自慢げに語っていた。

鬼ごっこが始まれば、何時もジャングルジムの中央に陣取っていたあの子は、今ごろ何処で何をしているだろうか?

アイツと遊んでも楽しくないと、未だに言われてはいないだろうか?

あの子の楽しみ方を理解してくれる。そんな友人を見つけることは出来ただろうか?

ジャングルジムの中央で、楽しく笑い続けていけたなら……それが一番幸せだろう。

9/20/2023, 9:58:39 PM

『大事にしたい』


『この世界に産まれた時、既に最後には死ぬことが確定してる。だから本来、全ての物に価値なんて無い』

この主張が正しいものだと仮定すると、本当に大事なのは『死ぬまでに、どれだけ自分という存在をこの世界に残していけるのか』な気がします。

最も分かりやすい方法は子孫を残すことでしょうか?
歴史に名を残すような偉業を成し遂げるのも一つの手かも知れません。
それらが難しい場合は、誰かの記憶に残るような事をするのが現実的でしょうね。

しかしそう考えると、昨今のSNS社会というのは大変ですね。
自分が得意としていることでも、世界を見てみれば、同じ様な特技をもっている人が星の数ほどいます。
その中でより輝くためには、それに見合うだけの実力が必要になってくるのです。

昔よりも多くの人に見てもらえる変わりに、誰かの印象には残りずらくなった社会。

世界中の人と簡単に繋がれるのに……何だか少し寂しく感じます。

9/16/2023, 6:59:55 PM

『空が泣く』


「雨が降っていた」

時刻は夕方6時30分。
田舎とも都会とも言い難い町の、細いとも太いとも言い難い道の真ん中に、君はいた。

濡れた髪が額に張り付き、雨を含んで色が濃くなった服が、重たそうに地面へと伸びている。

君の左後ろにはチカチカと点滅を繰り返す街路灯があって、少し離れた所でぽつねんと生えているカーブミラーがそれらを映し出していた。

地面のアスファルトを雨が打つ度に、雨粒が爆ぜてキラキラとした光を弾く。

「強い雨が降っていたんだ」

分厚い雲に覆われた空の下、君の近くに出来た小川は、夕日に照らされて鮮やかな朱色を魅せていた。

何時までも降る、雨に見られて。

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