『空が泣く』
「雨が降っていた」
時刻は夕方6時30分。
田舎とも都会とも言い難い町の、細いとも太いとも言い難い道の真ん中に、君はいた。
濡れた髪が額に張り付き、雨を含んで色が濃くなった服が、重たそうに地面へと伸びている。
君の左後ろにはチカチカと点滅を繰り返す街路灯があって、少し離れた所でぽつねんと生えているカーブミラーがそれらを映し出していた。
地面のアスファルトを雨が打つ度に、雨粒が爆ぜてキラキラとした光を弾く。
「強い雨が降っていたんだ」
分厚い雲に覆われた空の下、君の近くに出来た小川は、夕日に照らされて鮮やかな朱色を魅せていた。
何時までも降る、雨に見られて。
9/16/2023, 6:59:55 PM