ノーム

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12/7/2022, 2:38:05 PM

『部屋の片隅で』


部屋がある

部屋の中心にはテーブルが一つあり、その上にはマグカップが二つ置かれている

どちらも中には冷めたコーヒーが半分ほど入っており、片方にはラップが掛けられている

そしてその部屋の片隅には──

────

その日は朝から母がパートへと出掛けた

その日は父の仕事は休みで、私より起きてくる時間が遅かった

その日は私も学校が休みで、母が出掛けた時の玄関の音で目が覚めた

……その日は日曜日だった

私の家族はみんなコーヒーが好きだった
だからみんな朝起きたら決まってコーヒーを飲んだし、それぞれ自分用のマグカップだってあった

その日もそうだった

私が起きてきた時には既に母の姿は無く、テーブルの上には母のマグカップが置かれていた

急いでいて飲みきれなかったのだろう、そのマグカップにはまだ半分ほどコーヒーが残っており、ラップが掛けられていた

私が自分のコーヒーを飲み終わりマグカップを洗っていると、寝室から父が起きてきてそのままトイレへと入っていった

その間に自分のマグカップを片付け終えた私は、父の分のコーヒーも用意してあげる
インスタントのコーヒーなので、粉を入れてしまえば後はお湯を入れて完成だ

父がトイレから出てきたのでマグカップにお湯を入れ、二人で他愛のない話をして暇を潰す


──♪──♪──♪

父のスマホが鳴った


電話に出てすぐに父の雰囲気が変わった

事故だとか病院だとか不穏な言葉が聞こえる中に、母の名前が時折混じる

父は私に家に居るように言いつけると、慌てた様子で家を出て行った

私はその時……何もしていなかった
何をしたらいいのか分からなかったのだ

自分のスマホを握り締めながら、ただチクタクチクタクと時計の針が進む音だけを聞いていた


──♪──♪──♪

……私のスマホが鳴った


────

部屋がある

部屋の中心にはテーブルが一つあり、その上にはマグカップが二つ置かれている

どちらも中には冷めたコーヒーが半分ほど入っており、片方にはラップが掛けられている

そしてその部屋の片隅には──


──スマホを持って茫然と立ち尽くす……私がいたのだ

12/6/2022, 6:05:40 PM

『逆さま』


人生何が起こるか分からないものですね。

今まで順調に山を登ってきたのに、足を滑らかして崖から真っ逆さまです。

しかしまぁ、命綱をしていたので地面に落下する事は免れました。
不幸中の幸いですね。

ただ足にロープが絡まってしまって、頭逆さに宙吊り状態です。
不幸中の幸い中の不幸ですね。

そのままどうすることも出来ず、ブラーンブラーンとしていたら上に人影が見えました。

血が上ってクラクラとしてきた頭で、上にいる人に聞こえるよう大声で助けを求めます。

「頭に血が上って限界ですぅー!誰か助けて下さいぃー!」

ってね。

そしたら上にいた人も気付いたみたいでして。

「よしっ、任せろぉ!」

なんて力強い返事をしてくれたんです。
私、安心しましたよ。

(あぁ、これでやっと引き上げてもらえる!)

って、そう思いましたもん。
そう、思ったんですけどね……。

──バシャバシャバシャッ

ビックリですよね。
上にいた人……いや、上にいた阿呆は私の顔めがけて冷水をかけ始めたんですよ。

止めるように言おうとしても『やめゴボォ!なにガパァ!』なんて言葉しか出せませんでした。
当たり前ですよね、冷水がめっちゃ鼻と口に入ってくるんですもん。

正直もうね、てめぇこの野郎ぶっ"ピー"してやる
とか思いましたよ、えぇ。

そして最後に阿呆が一言。

「どうだぁ!これで頭が冷えただろう?なに、人として当然の事をしたまでだ、感謝はいらん!」

そう言って『ガハハ』と笑いながら去っていきました。

…………いや、いやいや、違うから、そうじゃないから。


引き上げろよ、いやほんとマジで。

12/5/2022, 6:34:37 AM

『夢と現実』


訪れるたび変化する夢の世界
そこから目が覚めれば
何時も変わらぬ現実が待っている

失敗するたび遠のく夢
それとは関係なく
何時も目の前には現実がある

ならば自分は夢を見ない
ならば自分は現実を見る

夢は何時だって曖昧で非情なのだから
現実は何時だって確実に存在するのだから

12/4/2022, 8:17:15 AM

『さよならは言わないで』


『またね』
貴女はそう言った

『うん、またね』
私はそう言った

それっきり貴女とは会えていないね

そんなに私の顔が見たくなかったの?
『私達は親友だ!』……その言葉は嘘だったの?

そんな素振りなんて少しも見せなかったじゃない
私も貴女のこと、なんでも話せる親友だと思ってたのに
勘違いしちゃったよ、恥ずかしい


『またね』
貴女はそう言って

『うん、またね』
私はそう言ったんだ

さよならは言わないで『またね』って言ったんだ
お互いに『またね』って言ったんだ……!

ねぇ、どうして相談してくれなかったの?
ねぇ、どうして私は気付かなかったの?
ねぇ、どうして私なんかが貴女の親友だったの?

……ねぇ、どうして──


もう会うことも叶わない貴女に問いかける


──私じゃ貴女の生きる理由にはなれなかったの?

11/30/2022, 10:54:00 AM

『泣かないで』


……俺が悪いのか?
裏切られたのは俺なのに?
それを少し問い詰めただけで?

お前は俺が少しでも失敗すれば、何時だって嫌味たらしく責め立てたじゃないか?
俺がどれだけ謝っても冷たく睨みつけて、舌打ちをしたじゃないか?

何時も、何時も、何時も……そうだろう?

なのにどうしてお前は泣くのか?

どうして謝罪の言葉一つ言わずに、ぽろぽろぽろぽろと涙を流しながら俺を睨むのか?
どうして何も知らない筈の周りの人間は、その涙だけを見てお前に同情するのか?

……どうしてお前が被害者面をして、俺が悪者扱いされなければならないのか?

それは……そんなのは……あんまりだろう?


……泣きたいのは何時だって俺の方なのに

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