半袖
今日も私はのそのそと起床。学校に行く用意しないとね。
まずはパジャマを脱ぎ捨てて、爽やかな夏服に袖を通す。
階段をパタパタ駆け下りてリビングに出たら、朝食を詰めこんで洗面所へ。
顔を洗って、歯を磨いて、髪をまとめて。
仕上げに真っ白な日焼け止めを満遍なく広げる。うん、バッチリ!
お昼の焼きそばパンをスクバに放りこんで、スマホを携えたら準備完了。
「行ってきまーす!」
鮮やかな空色をたたえる、すっかり夏の顔をした青空。
ジリジリジリジリ、シャアシャアシャアシャア……とけたたましく聞こえてくるセミの鳴き声。
額に汗を光らせて、今日も青春を謳歌する。
月に願いを
夜の涼しさが身に沁みる季節、そよ風のなか月明かりに照らされる。
君もこの月を眺めているのかな。そうだったらいいのにね。
君はどこにいるのかな。雲に隠れてはいないかい?
月が僕らを繋いでくれる。会えない君を、少しだけ。
また会う日、君は僕を喜んでくれるのかな。
君は君、僕は僕。再びお互いの道が交わることは、きっとないだろう。
それでも、僕は君を恋焦がれる。また会いたいと月に願う。
月が滲み、スパークリングワインが喉を鳴らした。
降り止まない雨
今日の運動会は雨天中止になった。
きっと予備日も雨だろう。
ここのところ雨ばかりで、運動場は一日も使えていない。
不幸は続くもので……この雨に呼応するように、同僚の神崎先生が体調を崩してしまっている。
太陽が出ている日にはいつも通り学校にきてくれるのだが、雨の日は顔面蒼白で、とても児童の前には出られない状態になっていた。初めてその姿を見た時、職員室一同ぎょっとしたのも記憶に新しい。
しかし、神秘的で暴力的な美貌を持つ彼女は、そのような姿になって尚美しかった。
その時から、雨の日に彼女を見かけたことは無い。
気がかりに思いつつも、6連勤を終えて帰路に着く私。
そういえば、校長先生が神崎先生のお見舞いに行くと言っていた。
終わったらすぐメッセージで報告すると言っていた。スマホをチェックするが、まだ通知はきていないようだ。
そこでふと顔を上げると、私は知らない場所に立っているようだった。
暗くて蒼い深海のような場所。戸惑うように立ち尽くしていると、眼前に光が差した。そこにいたのは――
キレイ。霄ォ菴薙?縺ゅi繧?k蝣エ謇?縺九i閻輔′逕溘∴縺ヲいてとてもおぞましく、逵溘▲證励〒蠎輔?遏・繧後↑縺?愍縺ィ蜿」閻に本能的な恐怖を感じる。青白い肌に映る美貌は、間違いなく神崎先生、いや、荳贋ス榊ュ伜惠豌エ縺ョ螂ウ逾。
豌エ縺ョ螂ウ逾は私に迫る。いやだ。こないで。作り替えられる!
「遘√→荳?邱偵↓縺ェ繧翫↑縺輔>。縺ゅ↑縺溘↓縺薙?莠区?繧堤オよ?縺輔○縺ヲ縺ゅ£繧」
蜷ク蜿しようとする手が伸びて、私を捕らえる。
「いやだ!いやだ!逋コ迢ゅ@縺ヲ縺励∪縺!!!」
あの頃の私へ
歌が聴こえる。懐かしいあの歌が。
歌っているのは私。いつかの私。
世界の大スターみたいに、声をめいっぱい響かせて。
いつもひとりで歌っていたから、誰にも届きはしなかった。
恋人に願った歌も、月と踊る歌も。
今なら届く、たくさんの星に。
輝く星々に手を差し伸べて、願いを歌う。
私、なったよ。あの日焦がれた、輝く星に。
君の目を見つめると
君は、いつも夢に大して真剣だったよね。目を見れば分かる。けれど、分からないこともあった。
どうして僕と一緒にいるんだい?
分からない。分からないから、思い切って聞いてみることにした。
「君と、一緒にいたいから」
返ってきた言葉の意味を知ることは叶わなかった。