バカみたい
これで何回目だろ……。
何度かいてもだめ。仕上がらない。
締め切りがあるものではないのに、微かな焦りが顔を出す。
「まただ……」
何をかいても納得できなくて、結局無かったことになってしまう。
何をかいても意味が無い。何も生み出せない。何も上手くいかない。
というか、生み出したところで何になるの?
また思い至ってしまった。
そんなことは考えないと、決めたばかりなのに。
その瞬間、何かがぼきりと折れる音がした。
……なんだ、バカみたい。
少し冷えた両の手を見つめたまま、しばらく動けなかった。
――――――
バカみたい
一方的に愛してる
どう足掻いたって、隣にいられることなんてないのに
勇気もないのに嫉妬して
受け止めてくれる相手に甘えて
向こうが愛を返すことなんてないのに
私以外の生徒といる時の方が、楽しそうにみえる
私のことはスキ?
二人ぼっち
いつもこうだ。
結局キミしかいない。
不条理
どうして、どうして……
貴方のことを一番に想っているのは私のはずなのに、どうしてあの子たちの方が貴方に近づいているの?
冷静に考えれば分かる。
貴方に近づく勇気が無かっただけ。ただの努力不足。それだけで済む話だ。
それでも、不条理を感じてしまう。
あの子たちが羨ましい。
貴方にもっと近づけた、あの環境が……。
大好きだから、貴方の姿をもっと見ていたかった。
大好きだから、貴方のことをもっと知りたかった。
そんな、愛する貴方とは……今日でお別れだった。
教室を覗いて見えた景色。あの子たちがいる。貴方がいる。
……やっぱりあの子たちが羨ましい。
それでも、悔いは無かったと言いたい。だって……
貴方のことを、心ゆくまで愛せたのだから。
安らかな瞳
惨い死体を見つけた。
死因は不明だが、死後に暴力を振るわれたようだ。
この人は嫌われていたのだろうか。
生前のことを思うと幾らでも同情の念がわいてくるが、そんなこと明日には忘れているだろう。
しかし、時が経っても私の脳みそに貼りついて離れないであろうことがひとつある。
唯一綺麗な顔に焼き付いた表情は、あまりにも安らかであった。
ずっと隣で
あなたの隣には、誰がいるのだろうか。
その座を奪おうなどという、不遜なことをしでかすつもりは毛頭ない。
ただ知りたい。
相棒でも、伴侶でもいい。
あなたはどんな世界で、誰と共に生きているのだろうか。
私がそこにいる資格は、多分ない。けれど……
せめて、あなたの人生に少しでも彩りを与えられる存在になりたい。
私の人生を、彩ってくれた人だから。