10/7/2024, 9:48:33 AM
過ぎた日を想う
あらゆる記憶はいつか何処かへ消えていくはずなのに、たったひとつの実体がそれを阻害する。夢幻の彼方へ消えていくはずだった過去の記憶は、たったひとつの空箱によって繋ぎ止められていた。
10/4/2024, 9:37:18 AM
巡り会えたら
桜舞い散る春に巡り会った、ある人がいた。
青葉がきらめく季節、雲に隠れてしまった。
行方知れずの彼を知る人はなく、はりぼての植物に水をやるばかりの日々。事の理由を知らされることも無く、唯再びの逢瀬を夢に見て季節を空費した。
そうして季節は過ぎ去り、知らぬ間に蝉の鳴き声も聞こえなくなっていった。
9/28/2024, 3:58:09 PM
別れ際に
束の間の逢瀬だった。実に半年ぶりなのだけど。
互いに時間が無く、実入りのある会話はほとんど出来なかった。
たとえそんな時でも、それが特別なイベントならば、必ず写真を撮るようにしている。
ふわりと消えていきそうな泡沫の記憶が、手のひら程の大きさにしっかりと焼き付くように。
それはきっと、明日を生きぬく希望になる。
9/23/2024, 3:37:03 PM
ジャングルジム
頂上にそびえる君が手招きをした。
仕方ないなと、僕もジャングルジムを登り始めた。
サビの付いた手でハイタッチをしたところで、2人しててっぺんに腰掛ける。大の大人2人には少々狭く、少しおしくらまんじゅうのようになってしまった。
どでかい夕焼けを眺めて君との思い出を並べる。君との結びつきがほどけないように。
よくよく見たら、結ぶ場所はとうの昔に消えていたらしいけど。
9/19/2024, 2:11:41 PM
時間よ止まれ
夢のような時間は、いつか本当に夢になる。
うつつな記憶の中に流れる時間は幻なのでしょうか。
寝て起きたその時、その時間を過ごした痕跡がきれいさっぱり無くなってしまいそうで。
今日の出来事が、思い出の箱の中に入ってしまわないように。