君は今
毎日のように顔を合わせるのも、今日で最後かもね。
卒業式の日、君といつも通りに喋っていた。
思い出話に花を咲かせながらも、話題は徐々に未来のことに移っていく。
「君はどこ高校行くんだっけ?」
「港の方の自称進、第一志望受かって良かったよ。君は?」
「僕は――」
君と交わす他愛もない会話。
すっかり使い込まれた、だっさいセーラー服。
君と歩く、夕焼けに染まった帰り道。
君と過ごす、当たり前の日常。
その全てがこれで最後なんだと思うと、何ともいえない感慨と寂しさに包まれたように感じる。
あれから一年。
一人で歩く、宵闇の垂れ込めた帰り道。
君も、同じようにここを歩いているのだろうか。
物憂げな空
何でもない曇り空が、今日は寂しく見える。
青空に照らされたリビングでぽーっとしていると、何処か郷愁のようなものを感じる。
小さい頃を思い出すからなのかもしれない。
成長するほど記憶は色褪せ、曖昧なものになる。
あまりにもふわふわした記憶は、昔過ごした時間は幻だったのではないかと錯覚させることがある。
でも、身の回りの至る所にあの頃を生きた痕跡がある。
タンスへの落書き、昔使っていた自由帳、いつからか飾らなくなったクリスマスツリー……
春が近付くと、私の胸にはいつも寂しさが付きまとう。
小さな命
あたしの命なんてちっぽけなもの。
ちっぽけだから、無くなったところで誰も気にしない。
ちっぽけだから、大きな命には容易く踏み潰されてしまう。
ちっぽけだから、誰にも気付かれない。
Love you
ある日、私は告白された。
校舎の裏側、ベタな言葉で。
私のことをそんなに想ってくれてるんだって、嬉しくなったことは覚えてる。
彼は私に尽くしてくれた。
その姿は、しっぽを振る健気なワンちゃんにも見えた。
一緒に手を繋いで歩いたり、傘を忘れた時には相合傘で家まで送ってもらったり。
フルーツティーのような青春が詰まった1年だった。
そんな思い出の数々を夕焼けのスクリーンに映しながら、寂れたブランコをキイキイとこぐ。
隣にはだあれもいない。
君はどこに行ってしまったのだろうか。
太陽のような
推しって尊い。太陽のように眩しい。
眩しすぎて直視できない。
眩しすぎてたまに苦しい。
うっかり近くに来てしまうと何もできない。
推しを前にしてしっかり話せる人、尊敬する。
推しの輝きが毎日の活力になる。
推しにぽかぽかと照らされた日常が愛おしい。
電池切れになるまで、どうか私の世界を照らしてください。