観測者

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2/21/2024, 11:23:54 AM

0からの

零さんのラジオは、聴いて2分で絶望を聞かせてくれる。
ただ、最後まで聴くことができれば不思議と心がスッキリとし、まっさらな気分になれる。
自分は何にでもなれるのだという希望を持てる。
もう一度、0から始めてみようか……なんて。
そんなこんなで聴き続けて何度目か、僕はこう思った。
「僕って、誰だっけ」

2/20/2024, 12:30:23 PM

同情

いじめられると同情される。
私を可哀想に思い、いろいろと良くしてくれる近所のおばさんは言った。

「ゆきちゃん、学校でいっつもいけずされて難儀やなぁ。でも心配あらへんで。おばちゃんがな、そんなことする子たちボコボコにやっつけたるからな」

私を家に招く度に同じ事を言う。確か今日で15回目くらい。
言葉で言うのは簡単だもんね。
殴る蹴るは日常。
私はクラスメイトのサンドバッグで、彼らのあらゆる不満は全て私に降りかかる。
ここ半年、クラスメイトに陽の感情を向けられたことは一度も無い。
時々あるグループワークでは、常に全ての役割を押しつけられる。
教師に告発したことは一度もない。
どうでもよかったから。
ただ、痛い時は思わず涙が出てくる。

2/20/2024, 2:03:06 AM

枯葉

枯れ葉掃除って、何をすればいいんだろう。
そもそも、どうなったら掃除したってことになるんだろう。
おじいちゃんに押しつけられたほうきを、適当に掃きながら考える。
とりあえず、1か所にまとめてみる。
すると、もう少しで終わる、となったところにいとこが飛び込んできた。努力の結晶が一瞬で無に帰ったものだから、思わず顔をしかめてしまった。
しかし、枯れ葉吹雪でキャッキャと遊んでいるいとこを眺めていると、なんだか毒気を抜かれてしまう。
こうしてる間にも、枯れ葉は庭を独占してしまおうとひらひら舞い踊ってる。
私は肩を竦めながらも、また性懲りもなく枯れ葉を掃きはじめた。

2/19/2024, 3:54:33 AM

今日にさよなら

楽しい今日も、嫌な今日も、時間は平等に今日を連れ去っていく。
ほら、今日もさよならの時間。
強い風に今日も連れ去られ、気づいた時には僅かな欠片が残るばかり。
今日の行方は、誰も知らない。
ただ、時が経つほどに褪せていくだけだ。

2/18/2024, 9:24:17 AM

お気に入り

今日手に入れたお人形さんは、3つともマリオネットだったよ。
お嬢様と、おじさんと、王様。
こんなふうにお人形さんをコレクションし続けて、数えるのもバカらしくなるくらいの量を持ってる。
その中でも、あたしのお気に入りはこれ。

“❤︎My Darling❤︎”

ひとつの欠陥もない整った顔面に、艶のある髪の毛……おまけにスタイル抜群。
まさに、あたしの理想を体現したようなダーリン。
いちばんのお気に入りだから、人間みたいな体温も感じられるようにしたの。
お人形さんには少しだけ心が残ってるから、毎晩ダーリンと添い寝してると、夢を通じてダーリンの思念が伝わってくるの。
夢の中のダーリンはいつもあたしに怯えて、怨みのこもった眼でじっと見つめてる。

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