観測者

Open App

君は今

毎日のように顔を合わせるのも、今日で最後かもね。
卒業式の日、君といつも通りに喋っていた。
思い出話に花を咲かせながらも、話題は徐々に未来のことに移っていく。
「君はどこ高校行くんだっけ?」
「港の方の自称進、第一志望受かって良かったよ。君は?」
「僕は――」
君と交わす他愛もない会話。
すっかり使い込まれた、だっさいセーラー服。
君と歩く、夕焼けに染まった帰り道。
君と過ごす、当たり前の日常。
その全てがこれで最後なんだと思うと、何ともいえない感慨と寂しさに包まれたように感じる。

あれから一年。
一人で歩く、宵闇の垂れ込めた帰り道。
君も、同じようにここを歩いているのだろうか。

2/27/2024, 7:32:20 AM