Morita

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3/17/2024, 9:31:17 AM

あとで書く

お題:怖がり

3/15/2024, 12:54:53 PM

星が溢れる。君の瞳から。

「なんかねえ、昨日から止まらないのよ」
「はあ」

スパンコールみたいなキラキラが、左目から右目から、ぽろぽろ、ぽろぽろ落ちてくる。

「なんでだろうね」
「やめなよ、目に傷がつくよ」
「だって」

目をこすると、星はパチパチと火花のように弾けて消えていく。

昨日夜通し泣いてたんでしょ。
憧れの人と同じ志望校に行けないって。

涙が枯れてしまったから、星がこぼれ落ちているのかもしれない。

「今日さ、パフェ食べに行く?」
「いらない」
「食べたいっていってたじゃん」
「食欲ない」
「行こうよお」
「えー」

君の取り繕う笑顔はぎこちない。

「なんか私、今日パフェ食べないと死にそうかも」
「死なないでしょ」
「いや、まじで。だからお願い」

それで君の悲しみが癒えるわけでもないと、分かっているけれど。

「食べに行こうよ、パフェ」

なんとかして溢れ落ちる星を止めてあげたかった。

【お題:星が溢れる】

3/15/2024, 7:58:58 AM

願わくば、花粉のない日本へ。

そうすれば目を擦らなくてもいいし、目の周りが赤くならないし、目薬をささなくてもいいのだ、

電車内で、隣の席のヤンキーが「花粉やべえ」とか「薬飲んだのに」とか言いながら洟をかみ続けている。ヤンキーでも花粉には勝てない。

なんでだろうなあ。目には見えないのに。こんなに苦しい思いをするなんて。




【お題:安らかな瞳】

3/12/2024, 3:40:39 AM

平穏な日々だと思っていた。

編み物の途中でふと顔を上げると、シャボン玉がひとつ、リビングに浮かんでいた。

庭でフーコが遊んだものが紛れ込んだのだろう。
違う。フーコはもう成人して家を出て行った。

雪雄さんが庭で洗車した泡が入ったのか。
それも違う。雪雄さんは今病院に行っていて。

近所の保育園から、でもない。あそこは移転して、今は灰色の月極駐車場になっている。

ふと気づく。家の中がしんと静まり返っていること。

子育てが終わり、平穏な日常を手に入れたと思っていたけれど。
こんなに空っぽだったっけ。

シャボン玉は音もなく、風もない中で、なぜか落ちることなく割れることなく、私とリビングの景色を映しながら、漂い続けている。

【お題:平穏な日常】

3/11/2024, 4:07:06 AM

モンテカナゴ語で「愛と平和」と書かれたTシャツを着た社長が、僕の派遣契約の更新をするつもりはない、と言った。

「うちも厳しいんでね。まあユウちゃんは他のところでもやれるっしょ」

モンテカナゴの海で一週間焼けた社長の肌は健康そのもので、首元にはネックレスをつけていた形跡がある。そこだけうっすら白いのだ。

「あの、入った時は6ヶ月の更新だって……」

まだ3ヶ月なのに。

「あーね。うちも色々状況が変わってね。じゃ、午後の仕事もよろしく」

社長はそう言って休憩室に戻って行った。僕は小さな工場の裏でひとり立ち尽くす。

サヌルール・ダ・ポンポンテ。
愛と平和。
ほんとにそんなもの、あるのかな。

社長からもらったモンテカナゴ土産のナッツバーを、僕はひとりでかじった。
やっぱりコンビニおにぎり一個じゃ、お昼は足りないや。

【お題:愛と平和】

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