花筏

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7/25/2025, 3:06:59 PM

【半袖】
半袖太郎

いつの時代にもどうしようもない奴といつのは必ずいるもので、あるお江戸の街にも遊んでばかり飲んでばかりの与太郎ではございましたが、とうとう金も底を尽き、親父さんにも「てめぇ、いい加減働け」と怒鳴られ、渋々奉公にでてきたものがございました。
追い出されちまったもんに文句を言おうがしょうがねぇ。呉服屋で住み込みで働き、師匠に弟子入りし、仕立て屋としての修行を始めたのでありました。奴さん、いままで針仕事なんぞ細けぇ仕事なんぞしたことございやせんから、やれ針で指を指しただの、やれ糸が通らんなどと毎日騒がしいもんでございました。
しかし、そんな与太郎も毎日やっていればある程度慣れてくるもんで、手ぬぐいに始まり、襦袢、襟、帯なんかもある程度縫えるようになっておりました。与太郎には丁稚としての仕事もありまして、今までは、着て来た着物では流石にみすぼらしいと、お店から着物を借りておりましたが、師匠も与太郎の腕を見込み、「おめぇさん、自分の着物、いっちょ縫ってみるかい?」と言い出したことで、与太郎は初めて着物を縫うことになったのでございます。いくら師匠教えがあれども、着物なんぞ縫うのは初めてですから、前身頃がやたらでかかったり、背中心がズレていたり、袖が長かったりとてんてこ舞いでございやした。
やっとこさ縫い終わり、完成した着物を着てみると…なんと袖が半分ほどしかございやせん。
「師匠、袖がやけに短ぇんですが」
「おや、お前さん、教本通りに裁っちまったのかい?
おめぇさんガタイがいいから、ちょいと足らなかったみたいだねぇ。ややっ、これでは与太郎ではなく半袖太郎だねぇ」
奴さんもこれ以上縫うのはごめんだと思い、半袖の着物のまま仕事を始めました。
亭主や番頭からはやんや言われたものの、客からは面白いと評判になり、半袖太郎として、名を馳せたのでした。

7/23/2025, 2:19:04 PM

【True Love】
真実の愛の反対には偽りの愛があるのが世の常でございまして。
昔、居酒屋でおんなを取っかえ引っ変えしている男がおりました。働いて家族を養ってる男ならまだしも、こやつは髪結いの亭主でござんして、昼間っから酒を飲んでは女を連れ込み好き放題でございました。
なんど女房に叱られても女遊びを辞めず、とうとうかみさんが怒って離縁を言い渡し、男を追い出してしまいました。奴さん、金等ございませんから今夜泊まる場所も食う飯にも困ってしましました。

「かかあの野郎、無一文で追い出しやがって、あくまでもこっちは亭主だぞこんちくしょう」

しかし文句を言っても、もうかみさんは戸は開けてくれませんから、今夜の宿を探さねばなりません。

「そうだ、新田屋のかみさんとこに行こう。あそこの亭主はしばらく仕事で留守のはずだ。あんだけ愛し合ったんだ。1晩の宿ぐらい貸してくれるだろう。」

しかし

「ここにあんたのいるばしょはないよ。帰っとくれ。店にまできちゃぁ、あの人にバレるだろ。ほらっ、しっしっ。」
「あんだと!てめぇ、新しい櫛と簪買ってやったのにその言い草はねぇだろ!」
「うるさいね。あんたが勝手に買ってきたんだろ。こっちゃ頼みなんざしちゃいないよ」
「ちっ、他をあたるか」

しかし、他所の女の元へいけども、誰も泊めてくれる者などおりません。
「かかぁ、かかぁよぅ、すまねぇ俺が悪かった。ほかの女との愛は偽物だった。お前さんからの愛だけが本物だったよ。なぁ、開けとくれよぉ」
「自分が金に困ってようやく懲りたかい。でもねぇ悪いけどもうあんたにやれる愛は無いよ。今まであんたをほんとに愛してたけどもう無理だね。」

男は結局、仲人からの紹介で、住み込みの仕事を始めたそうな。



※口調が色々迷子です(´-` )

7/22/2025, 8:13:53 AM

【星を追いかけて】
ここはどこ?
わからない。
わたしは誰?
それも分からない。
今自分が誰でどうしてここにいるか、何も分からない

「なにかお困りかい?お嬢ちゃん」

おじさんだれ?

「お嬢ちゃんみたいな迷子達を在るべき場所に帰してやるただのおじさんだよ」

私のおうち知ってるの?

「ああ、ちょっと待ってな」
「これでよし。この線香の煙が見えるかい?この煙の先に、お星様が見えるだろう?そう、それだ。その星がお嬢ちゃんのおうちだよ。この煙をたどっていけばいい。そうしたら帰れる」

ほんとに?

「ああ勿論だとも」

嬉しい。おじさんありがとう。

「どういたしまして。早くお行き」

じゃあね、おじさん。バイバイ

〜〜~

「ご依頼の件、無事終了いたしました。お嬢様は、無事仏様の元に行かれましたよ」

7/19/2025, 2:50:03 PM

【飛べ】
「はーい子どもたち。みんな集まってるかしら?」
「「はーい!」」
「みんな元気ね。それじゃあ、今日はこの木の枝で、練習しましょうか」
「「はーい」」
「でもママ、ちょっと高いから怖いよ…」
「大丈夫よ、昨日も教えたでしょう?」
「でも、昨日だってギリギリだったのにもっと高い枝からなんて…」
「大丈夫よ、ママも一緒だから」
「うん…」
「今のところ、猫もいないみたいだから」
「わかった」






こうして今日も、雀の雛たちの飛ぶ練習が行われる


7/19/2025, 9:58:11 AM

【special day】
思いついたら描きます

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